スティーブ・ナッシュ

指揮官ナッシュ「攻撃でも守備でも、相手のフィジカルが上回った」

レギュラーシーズン終盤に迎えたネッツとの連戦でバックスは連勝した。試合のカギとなるシーンは第2クォーター開始4分に訪れた。ヤニス・アデトクンボのベースラインアタックに対し、出足良くコースに入ったケビン・デュラントがオフェンスファウルを誘発する。アデトクンボはこれで個人ファウル3つ目で、ベンチに下がらざるを得なかった。

ネッツがここで一気に試合の主導権を握ったと思われたが、むしろ動きが良くなったのはバックスだった。アデトクンボに代わって入ったPJ・タッカーが作り出すスペースを生かしてインサイドを攻め立て、そこからのキックアウトでブリン・フォーブスが2本の3ポイントシュートを成功させる。

大きな点差が付いたわけではないし、第3クォーター終了時点では一時逆転を許したのだが、バックスはアデトクンボ不在の苦しい時間帯をチーム一丸でしのいだことで自信を増し、逆にネッツは噛み合わなくなった。

第4クォーター開始時点で2点をリードしていたネッツだが、残り10分からの約4分間で1-18のランで逆転され、一気に突き放された。0-7とされた時点でネッツを指揮するスティーブ・ナッシュは一度タイムアウトを取ったが、その後はディフェンスが崩壊する中でタイムアウトを取らずに、なされるがままになった。試合後、この判断を問われたナッシュは「取るべきだったかもしれないが、取ったところで結果は変わらなかっただろう。攻撃でも守備でも、相手のフィジカルが上回った」と語る。

第2クォーターも第4クォーターも、大事な場面でバックスのフィジカルと運動量、ボールへ向かう気持ちが上回った。その象徴はアデトクンボではなく、ドンテ・ディビンチェンゾだった。シューターの彼がリバウンドの落ちるスペースに次々と飛び込み、両チームを通じて最多の15リバウンドを獲得。うちオフェンスリバウンドは6で、チームで15-6と圧倒したオフェンスリバウンドが効いてフィールドゴールのアテンプトで98-84と大きな差が付いた。

ブレイク・グリフィンは「ガードの選手に飛び込まれて、あれだけリバウンドをやられてはダメだ。相手のプレー強度に合わせて僕らも力を出さなきゃいけなかった。本来は自分たちでコントロールできることなのだから、やらなければいけない」と悔やむ。

ナッシュも言う。「ウチはフィジカルで戦うチームじゃないかもしれないが、それはフィジカルで圧倒されても仕方ないという言い訳にはならない。我々はメンバーを入れ替えて戦っているので連携面で劣る。だからこそ、よりフィジカルに戦って、フィフティフィフティのボールをモノにしなければならない」

クラッチタイムにも、ネッツのオフェンスよりもバックスのディフェンスにおけるハードワークが目立った。最終スコア124-118でバックスが快勝している。

これでバックスはネッツとの対戦成績を2勝1敗とし、タイブレークを獲得した。ネッツは43勝23敗で2位、41勝24敗のバックスは1.5ゲーム差で追っているが、残る日程はマブス、ナゲッツとの試合を残すネッツの方が厳しい。勝率で並べばバックスが上位となり、お互いにプレーオフで1回戦を突破すればカンファレンスセミファイナルはバックスがホームアドバンテージを得る。