写真=野口岳彦

クールな比江島に息づく「エースの自覚」

9日9日からテヘラン(イラン)で開催される『2016 FIBA ASIAチャレンジ』に参戦する男子日本代表。2019年のワールドカップ、2020年の東京五輪へと続く『挑戦』のスタートとなるこの大会に向け、比江島慎が意気込みを語った。

「世界と戦うにはアジアの1位にならなきゃいけないという思いはあります。常にアジアでは戦える状態に持っていきたい。少し年齢は若返りましたけど、それでも戦えることを証明したいです」

彼は自分の課題として、早い展開の中で良い判断をしていくことを挙げた。「自分のチームとはテンポが全く違うので、そこは苦労しているんですけど……」と課題を正直に打ち明けながらも、「そこをクリアしていかないと勝てないので、意識してやっていきます」と言う。

この大会に向けたチーム作りの意味合いがあったジョーンズカップやジョージ・ワシントン大との国際親善試合では、オフ明けということで他のチームメート同様、比江島も本来のプレーにはほど遠かかったが、9月となれば体は動く。それでもエースとしての期待に応えられるかとの質問には、比江島らしくクールな言葉が返って来た。

「コンディションが良くないとかそういう言い訳はできないです。気負うことなく、エースと言われますがあまり意識しないで自分らしくプレーすることを心掛けて、去年も一昨年もそうやってきたので、そうすれば結果は付いてくると思います」

それでもエースの自覚は、比江島の中にしっかりと息付いている。「自分がやらないといけないってことは分かっています。(チームが)困った時に自分がやれるように」

リオ五輪の世界最終予選(OQT)ではラトビアとチェコに実力差を見せ付けられた。その2チームにしてもリオ行きの切符を逃しているわけで、この夏は『世界との差』を改めて痛感させられた。

比江島はOQTでの経験をこう振り返る。「個人の差はやっぱりあります。もっと個の力を上げないとチーム力も上がらないというのも分かりました。一つひとつの精度、パスやシュートだったり、向こうには余裕があったんですけど、あの場で僕には余裕がなくて、冷静さを欠いてプレーしていたので。余裕を持つためにももっと練習したり、ああいう経験を積まなきゃいけないと思いました」

男子日本代表は一からの再スタートを切る。日本代表選手としての比江島も同じく、新たなスタートをテヘランの地で切ることになる。エースとしての自覚を胸に、自分らしくプレーする比江島に、チームを引っ張るパフォーマンスを期待したい。

『2016 FIBA ASIAチャレンジ』グループ分けと日本代表のスケジュール

グループA 中国、ヨルダン、カザフスタン
グループB フィリピン、インド、チャイニーズ・タイペイ
グループC イラン、カタール、イラク
グループD 日本、韓国、タイ 

9月 9日(金) 日本vs韓国
9月11日(日) 日本vsタイ
9月12日(月) 日本vsグループCのチーム
9月13日(火) 日本vsグループCのチーム
9月14日(水) 日本vsグループCのチーム
9月16日(金) 準々決勝
9月17日(土) 準決勝、順位決定戦
9月18日(日) 決勝、順位決定戦