クリッパーズに本気で誘うも、デュラントの決断は支持
チームUSAの一員として、3大会連続金メダル獲得をともに狙うケビン・デュラントとデアンドレ・ジョーダンは、固い友情で結ばれている。デュラントが『The Vertical』に語った、彼らの友情の深さを表す言葉を紹介したい。
「結婚するとしたら真っ先に呼ぶのが彼だよ。兄弟みたいなものさ」
確かに、チームUSAでの2人を見ていると仲の良さはよく分かる。代表チームでの背番号は、デュラントが5番でジョーダンは6番。試合中もベンチで隣同士に座り、オフの日には水泳のアメリカ代表マイケル・フェルプスの試合をともに観戦。ウサイン・ボルトが金メダルを獲得した陸上男子100メートル決勝にも揃って足を運んだし、昨日の女子バスケットボール準々決勝でも、日本と戦う女子のチームUSAを応援した。
彼らの親交が始まったのは、デュラントがテキサス大への進学を決めた頃にさかのぼる。ジョーダンよりも1学年上のデュラントは、同大にジョーダンを勧誘。だがジョーダンは、デュラントが1年後NBAドラフトにエントリーすることを確信していたため、首を縦には振らなかった。
ジョーダンは当時を笑顔で振り返る。「ケビンには、『君が1年後にいなくなるのが分かってて、その大学に行くと思うか?』と伝えた。彼は『1年でNBAに行くつもりはないよ。きっと大学に残る』と返事をしてきたんだけど、実際どうなったかは知ってるだろ」(デュラントは同大に1年だけ所属し、NBAドラフトにエントリーした)
ジョーダンは続ける。「それからというもの、僕たちは本当に仲が良いんだ。世界で最高の友人の一人だよ」
今オフ、今度は逆にジョーダンがデュラントを勧誘することになった。フリーエージェントとなったデュラントを口説き落とすため、クリッパーズはオーナーのスティーブ・バルマーとヘッドコーチのドック・リバース、そしてジョーダンとブレイク・グリフィンが勢揃いして、デュラントとの交渉に臨んだ。
ジョーダンは『The Vertical』の取材に対し、「毎日のように彼に連絡を入れた」と、本気でデュラント獲得に動いたことを明かしている。しかし、デュラントが選んだのは前所属先サンダー、クリッパーズにとって最大のライバル、ウォリアーズだった。
ジョーダンは言う。「僕たちにも可能性はあったんだけどね。でも、彼の決断だ。誰だって喜んでも怒ってもいいけど、ケビンは自分にとってベストだと思う決断を下した。それでいいんだ」
NBAの勢力図を揺るがす移籍を決断したデュラントには、良くも悪くも賛否両論が降り注いだ。そんな中、ウォリアーズ移籍を発表後、誰よりも先に祝福メールをくれたのはジョーダンだったと、デュラントは『The Vertical』に明かしている。
「愛しているよ、兄貴。おめでとう。君が幸せになることなら、それが何だって俺はうれしいんだ」