辻直人

ビッグラインナップを活用して勝機を見いだす

1月23日、川崎ブレイブサンダースが敵地で秋田ノーザンハピネッツと対戦。出だしこそミスが目立ったものの第2クォーター途中から守備を立て直すと、最後まで集中力を切らさず80-67で我慢比べを制した。これで両チームは18勝10敗で並んでいる。

第1クォーター、川崎は試合最初のオフェンスで辻直人が3ポイントシュート成功と幸先良いスタートを切るが、ここから秋田はトランジションからアレックス・デービスがバスケット・カウント。さらに細谷将司のフローターなどで12-5と先行する。一方の川崎はニック・ファジーカスがフリースローを3本連続失敗。意思の疎通がうまくいかずパスミスが出ると、さらに秋田得意のフルコートでの激しいプレッシャーディフェンスに苦しみ、このクォーターだけで8ターンオーバーと拙攻が続き、21-12と秋田に主導権を握られた。

しかし第2クォーターに入ると、10月24日以来の復帰となったマティアス・カルファニが攻守に渡る奮闘で川崎に流れをもたらす。さらにオフィシャルタイムアウト明け、ファジーカスと外国籍2人のビッグラインアップによるゾーンディフェンスがハマる。ここまで秋田ガード陣にインサイドアタックからレイアップを許したり、ビッグマンに合わせのパスを出されて決められていたが、ゴール下をしっかり締めることで外からのシュートを強いる。そして、秋田はこのクォーターで3ポイントシュート7本すべて失敗と決めきれない。

また、オフェンスでは日本人とマッチアップするビッグマンがゴール下でミスマッチを突くポストアップから、秋田のダブルチームにも冷静にパスをさばいてイージーシュートを作り出す。その結果、ファジーカスのフリースローで35-34と逆転して試合を折り返した。

前半の良い流れを維持する川崎は、後半開始2分半で3つのスティールを奪い、そこからの速攻で43-36とリードを広げる。秋田も本日17得点をマークした細谷の活躍によって食い下がり、川崎の4点リードで第4クォーターへ。ここから川崎は辻が連続3ポイントシュートを決めるが、秋田も長谷川暢、ハビエル・カーターが入れ返すなど一進一退で僅差の展開が続いた。

川崎ブレイブサンダース

「後半はディフェンスをもう一度強度を上げてやろう」

それでも終盤になって秋田が崩れてしまう。川崎の5点リードで迎えた残り3分20秒、川崎は長谷川技がスティールに成功すると、その守りで秋田はデービスが辻に対してシューティングファウル。さらにこのプレーへの判定を巡りベンチテクニカルを吹かれてしまい、川崎はフリースローを4本獲得する。これをすべて決めると、辻がオフバランスの難しい外角シュートを沈めてリードを11点に広げた。

川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは試合をこう振り返る。「出だしに相手のプレッシャーに少し押されて、8つのターンオーバーと重い展開になりましたが、ビッグラインナップやゾーンディフェンスも使いながら追いつくことができました。後半は我々のディフェンスをもう一度強度を上げてやろうということで、そこが機能して失点を少なく抑えられたのが良かったです」

第4クォーターではエースのファジーカスが出場機会なしと、ディフェンスを重視する選手起用が機能した。それも本日20得点の辻が第4クォーターだけで12得点を挙げたからこそ。前半0得点の藤井祐眞が後半に16得点を挙げたことも含め、日本人選手のオフェンス面でのステップアップも大きかった。

そして久しぶりの復帰となるカルファニが、相手の隙を的確に突く抜け目のなさが光る14得点とブランクを感じさせない活躍を見せたことも好材料だった。「ただいま」と日本語で答えた後、「今日の個人得点は14点ですが、そこがうれしいわけではなくて、それが勝利につながっていることが重要だと思います。今日やっと復帰戦で、1勝できたということが重要ですし、これからも勝利を重ねていきたいで」と続けた。

ようやくフルメンバーが揃った川崎としては、明日も勝って大きな弾みをつけたい。一方、秋田としては、リベンジしてリーグ上位の相手にも戦えることを示したい。両チームにとって明日は、これからの流れにも少なくない影響を与える大事な一戦となる。