「日本の2位になれたことに誇りを持って、京都に帰りたい」
ウインターカップ男子の決勝で、東山は悲願の初優勝を懸けて仙台大学附属明成と対戦したが、70-72とわずか2点差で日本一には届かず。1年生の時から主力としてコートに立ち、今年はキャプテンとしてチームを引っ張ってきた米須玲音は、試合終了とともにコートに崩れ落ちた。
立ち上がりは明成のゾーンディフェンスを攻めあぐねた東山だったが、米須がディフェンスを引き寄せて、味方のシュートチャンスを作り出して行く。また、ディフェンスリバウンドを取っては前を走る味方へロングパスを出すことで速攻へと繋げ、第2クォーターを20-6と圧倒し、40-26で前半を終えた。
米須も「前半は自分たちの良いペースで攻めることができたところが多かった」と語ったが、後半は明成のプレスディフェンスに圧倒され、リズムを崩した。「後半はプレスで前から当たってくることは予想していましたが、思ったよりディフェンスの圧がすごくて、自分たちが受け身になってしまった。そこがすごく大きくて、明成さんの方が気持ちで上回っていた部分がありました。本当にそこの部分だけで、プレーというよりはメンタルの部分でやられたと思っています」
また、明成は同じゾーンディフェンスでも、時間帯によっては1-1-3、3-2、2-3、そしてプレスなどの様々な守り方で東山のオフェンスを阻止した。福岡第一との準々決勝でも明成のゾーンは効果的に働いていたため、東山も対策はしていたが、長身揃いの明成のゾーンは予想以上のものがあったと米須は言う。
「明成さんは平均身長も高いですし、リーチも長くて、いつも出せているパスがなかなか通らないことが場面場面でありました。自分のターンオーバーもすごく多くて、自分のパスから流れを変えるというチームスタイルが今回の試合ではなかなか出すことができなくて、本当にチームに迷惑をかけたと思います」
「今日はしっかり楽しんでチーム一丸となって最後までやれた」
残り5.3秒、2点ビハインドで迎えたラストポゼッション。米須は明成から厳しいマークを受け自らシュートを打つのではなく、残り1秒で堀陽稀にボールを託したが、堀のラストショットは明成のブロックで阻止された。逆転ブザービーターの可能性があった最後の場面について米須は「最後は本当は自分で打ちたかった」と言い、こう続けた。
「すごくマークされていたので、自分がカットされるよりも空いているスペースに出してシュートを打たせようと思いました。ただ、そこでもヘルプが来ていて最後はブロックされて終わりましたが、本当にそこは仕方がなかったと思います。その前の第3クォーターや第4クォーターのプレスの持って行き方がしっかりしていれば、こういうことはなかったんだろうなと感じました」
1年生の時から主力としてプレーし、注目を集めていた米須だが、初めてのウインターカップは2回戦で、2年生の時は準決勝で、ともに福岡第一に敗れている。3年目にしてようやく決勝の舞台まで駒を進めたが、目標まであと一歩届かず、米須の東山でのバスケットは幕を閉じた。
「ずっと1年生の頃からスタメンで出させてもらった分、しっかりここで恩返しをしようと思って挑んだ最後の大会でした。準優勝という結果で日本一にはあと一歩届かなかったですが、準優勝で終われたことは悪いことでもないし、良いことでもないですが、しっかりと日本の2位になれたことに誇りを持って、京都に帰りたいと思います」
また、今大会は新型コロナウイルスの影響により、出場チーム120のうち7チームが出場辞退や途中棄権を余儀なくされた。そのため、米須は「高校最後までバスケができたことに、本当に感謝しています」と語る。
「ここまで4試合をやって、決勝の舞台では、今大会に出られなかったチームやコロナ禍で辞退したチームの皆さんのためにも、しっかりと楽しんでプレーしようとチームで話していました。そういう面では、今日はしっかり楽しんでチーム一丸となって最後までやれたので良かったです」
東山での最後の試合は敗れて終わったが、この試合でも米須は、15得点10リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを記録し、見る者を魅了した。下級生の頃から大きな期待を背負いながら、プレーだけでなく人間としても成長を遂げた米須の、新たなステージでの活躍を期待したい。