「打ってみないと分からないのでどんどん行こう」
日本航空との初戦を92-45と危なげなく制した大阪薫英女学院が、2回戦で白鷗大学足利と対戦した。
互いにペースをつかめない立ち上がりから、大阪薫英女学院は受け身に回って相手に主導権を握られてしまう。サイズがなくて平面のバスケで勝負するチームが積極性を欠いて足が止まってしまったのでは、持ち味は発揮できない。司令塔を務めるのは1年生の都野七海。「相手チームのディフェンスの特徴をとらえきれてなくて、どう攻めるか自分が迷ってしまい、周りを動かせていなかった」と前半の停滞を振り返る。
チーム最初のシュートを打ったのは都野で、チーム最初のリバウンドを取ったのも都野。立ち上がりの約5分は積極的に攻めて10得点を奪ったが、その後はチームを動かすことに意識を向けたことで受け身に回ってしまった。それでも第2クォーター後半に交代させられ、本人曰く「ベンチで頭を冷やしました」という時間が後半の逆転劇を呼び込んだ。
後半の大阪薫英女学院は全く別のチームになり、平面のバスケのお手本のようなプレーを実践する。フットワークの良いディフェンスでインサイドにボールを入れさせず、確率の低いシュートを打たせてはサイズでは負けていても出足の良さでリバウンドを奪取。その瞬間には複数の選手が敵陣へと走り出し、トランジションのパスを引き出した。迷いを吹っ切った都野は速い展開を作り出すとともに、自らも積極的にドライブで仕掛けては得点を狙った。
サイズのない大阪薫英女学院においても、158cmの都野は一際小さい。それでも誰よりも攻め気を出し、相手ディフェンスの懐に潜り込んで抜き去るようなドライブからシュートを決めていった。
「後半は戦術というより動きの中で攻めよう、得意のドライブや3ポイントシュートを思い切り打とうと。チェックされるかもしれないですけど、打ってみないと分からないのでどんどん行こうと思いました」と語る都野の連続得点で第3クォーター残り3分で逆転に成功。都野の作り出す速いテンポにチームメートも合わせ、勢いはさらに加速していく。前半終了時点で7点のビハインドを背負っていたが、後半を50-25と圧倒。見事な逆転勝ちを収めた。
3回戦の相手は桜花学園で、昨年の準決勝の再現に。この時は61-95で完敗を喫している。1年生の都野にとっては、桜花学園の実績と、今大会No.1のポイントガードとされる江村優有に気圧されずに戦うことが一番だ。「ビビらずチャレンジして、1年生らしく思い切りプレーするだけです」と、すでに気持ちは吹っ切れている様子。言葉通りの思い切りの良さを出せれば、都野のドライブは桜花学園にとっても脅威となるはずだ。