津屋一球

陸川ヘッドコーチ「津屋について『東海大の魂』と書きました」

2020年インカレ王者に輝いたのは、前年のベスト8敗退から見事な復活劇を遂げた東海大だった。今年のチームは最優秀選手賞を受賞した大倉颯太を筆頭に西田雄大、八村阿蓮、佐土原遼といった上級生たちに加え、大物ルーキーの河村勇輝と大学界ナンバー1のタレント力を揃えた。そして、すべての試合で18点差以上をつける危なげない戦いぶりで優勝まで駆け上がった。

東海大はインカレの前哨戦となったオータムカップも圧勝で優勝しており、その意味では順当な結果だったと言える。ただ、チームの持っている力を一発勝負のトーナメントでしっかり発揮するのは簡単なことではない。しかも今年はコロナ禍によって活動が大きく制限され、例年以上に一体感の醸成は難しかった。

その中で東海大は、チームが一致団結していた。この持っている力を100%出せる状況を作り出す縁の下の力持ちとなったのがキャプテンの津屋一球だ。彼のリーダーシップについては、オータムカップの時から陸川章ヘッドコーチが絶賛していたが、その存在感はインカレでより輝きを増していた。

決勝終了後、陸川ヘッドコーチは津屋の貢献を次のように絶賛した。「紹介コメントを書く時、他の選手には3ポイントシュートなどいろいろと書きますが、津屋について『東海大の魂』と書きました。我々の魂を表現してくれるキャプテンです。過去にもいろいろな素晴らしいキャプテンがいましたが、『強い東海大を取り戻す』という彼の強い意気込みが勝利を導いたと思います」

津屋一球

「みんながこのチームを最高と思えるチーム作りを目指してきました」

津屋がチーム作りで重視した部分であり、その根幹となる東海大の魂はこうだ。「試合に出るメンバー、出ないメンバー関係なく、みんながこのチームを最高と思えるチーム作りを目指してきました。そして、東海の魂はディフェンスであることを常に頭に入れてやってきました。ディフェンスではコミュニケーションが大事で、練習中からディフェンス、リバウンド、ルーズボールにフォーカスして声を出していました」

そして、決勝で28分16秒の出場時間が示すように、タレント集団の東海大にあっても自らのプレーで堅守を体現し、声と背中の両方でチームを鼓舞し続けた。

ちなみに津屋のイメージしていた強い東海大とは、狩野祐介(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)や田中大貴(アルバルク東京)がキャプテンを務めインカレを連覇した2012年、13年のチーム。当時のチームには須田侑太郎、晴山ケビン、ザック・バランスキー、ベンドラメ礼生など、現在Bリーグで活躍する選手たちが多く在籍していた。

「先輩たちの代に近づいた、越えたと言うのは畏れ多いですが、優勝したことで強い東海を取り戻すことができたと思っています」。こう本人は語るが、今年のチームは彼が言及したチームと遜色ない一体感、タレント力を備えていると多くの人が認めるだろう。

今年の東海大は強さを取り戻しただけでなく、同大の歴史に残るような強さを見せた。それは、キャプテンの津屋が歴代屈指のリーダーシップを持っていたからこそである。