コンゴロー・ディビッド

昨年のウインターカップ、報徳学園のコンゴロー・ディビッドは初戦の前橋育英戦で51得点22リバウンド5ブロックを記録した。1年生だった2018年大会でも県立福島南を相手に41得点31リバウンドを記録していたが、より強く、より上手くなって観客の度肝を抜いた。3年生となる今年の大会でも同じように成長していれば、大会を席巻する存在になる。バスケ選手としての成長だけでなく日本語の上達もハイペース。中学3年でコンゴ民主共和国出身から日本にやって来た時は全くしゃべれなかったが、この取材では流暢な日本語で、高校バスケ最後の大会に懸ける意気込みを語ってくれた。

「レブロン、ヤニス、ヨキッチのようになりたい」

──まずはバスケを始めたきっかけを教えてください。

僕の国はサッカーが有名で、最初はサッカーをやっていました。背が高いので高いボールもジャンプすれば届くのでセンターバックをやっていました。でも、僕のお母さんはナショナルチームでキャプテンをやっていたほどのバスケ選手だったので、11歳からバスケを始めて、お母さんと練習していました。

──日本語がかなり上手ですが、来日したのは中学3年ですよね。話せるようになるまでは大変だったのでは?

日本に来た時は、日本人が何の言葉を使っているかも分からなかった。中国人と同じ言葉か、英語を使っていると思っていました。東京の空港に着いて、中学のコーチが迎えに来てくれて初めて日本語を知りました。思ってたのと全く違った。日本語でしゃべるのはなかなか難しいです。日本語とフランス語を間違えてしゃべったり、いっぱい間違えました。英語は全然分からないです。

中学校の時は日本語教室にちょっとだけ通って、授業の時は保健室に行って、保健の先生に読み方を教えてもらいました。そこからたくさん覚えました。日本語をしゃべる時はめっちゃ考えます。どうやったら上手くしゃべれるようになるかは難しいけど、友達が何を話しているのか、何を言うのかを聞いて覚えました。僕は今、フランス語と、コンゴの言葉、コンゴの部族の言葉、ちょっと日本語の4カ国語でしゃべれます。

──遠く離れた日本にやってきて、生活に馴染むのに問題はありませんでしたか?

不安がなかったわけではないけど、めっちゃ先生も優しかった。何でも教えてくれて優しかったです。友達もホンマに毎日一緒にいてくれて「今日は牛丼を食べに行こう」とかめっちゃ優しい。日本人はとても優しくて感激しましたが、今は慣れました(笑)。初めて食べた時に美味しかったすき屋の牛丼をずっと食べてました。今は焼肉定食とカレーライスが好きです。

──部活をしていない時は、どのように過ごしていますか?

プレステ4を持っているので『ウイイレ』をやっています。音楽も聴いていてTWICEが好きです。合唱コンクールの歌も好きです。外に遊びにはあんまり行かへんけど、友達と遊ぶとなったらご飯を食べに行きます。電車に乗るのとかは全然大丈夫。大阪に行く時もアプリで調べれば乗り換えとか分かるから行けます。

コンゴロー・ディビッド

「ずっと日本一になりたいと思ってやってきた」

──報徳学園で1年生から試合に出ていて、今年が高校最後の年ですが、インターハイがなくなってしまいました。

そこは一番悔しかった。去年インターハイでベスト4になって、1年生の時はベスト16だったけどレベルがどんどん上がっていた。練習をもっと頑張れば3年生では日本一になれると思ったし、そういう自信も持っていた。全部なくなって自分の気持ちはめっちゃ悲しかったし悔しかった。テンションも下がっていた。

今もコロナが毎日何百人とか増えていて、ウインターカップがあると全く思っていなかった。でもニュースでウインターカップあります、予選もやると言ってて、めっちゃうれしかった。そこから練習で気持ちも上がってきた。ずっと日本一になりたいと思ってきたから。今年はそんなに長い練習ができずホンマ短い時間やけど、こういう短い時間でもっと良い練習をしたい。今年で最後やから全国大会で頑張りたいです。

──ゴール下で強いのは分かりました。最近は外のシュートも練習していると聞きますが、手応えは?

1年生の時はずっとゴール下で練習していました。練習前と練習後に先生とゴール下の練習をしました。ゴール下で強くなって頑張ってウインターカップに行きました。そうして慣れて、2年生になると先生が「ディビッドのプレーも変わってほしい。もうちょっと上でパスをもらってダイブの練習とか、シュートの練習も」と言って、やるようになりました。僕の仕事はゴール下なので、試合ではいつも外のシュートを打つわけではないけど、スペースがあれば打てます。今はコーチとずっと一緒にゴール下の練習をやって、その後で外のシュートも教えてもらっている。自信も持てるようになったけど、試合で打つのは1回か2回か。100%は入らないけど50%は入ります。チームにはシュートが上手い人がいっぱいいるから、僕はゴール下とリバウンドで頑張る。外でスペースがあったら、その時は打ちます。

──ウインターカップではビッグマンの出来が勝敗を分けることも多いはずです。ライバルとして意識している相手はいますか?

留学生同士の対戦だとゴール下も難しかったり、めっちゃ良い勉強になります。東山の留学生のジャンプ(ムトンボ・ジャン・ピエール)とはいつもマッチアップするけど、身長も2cmしか変わらないし(コンゴローは208cm、ジャン・ピエールは206cm)、腕が長いからリングがなかなか見えへん。ブロックのタイミングもあるけど、良い勉強にならなあかんと思います。他の留学生とはあまりやったことがないけど、いつも東山は意識しているし、東山との試合で活躍したい。

コンゴロー・ディビッド

ライバルは東山のジャンピ「今回が最後だから試合がしたい」

──東山とはベスト8で当たる可能性があります。自信はありますか?

勝ちたいし、絶対に行けると思う。試合での勝ち負けは一人じゃなくてみんなの活躍で行くけど、ジャンピには絶対負けへんイメージは持っています。試合では何があるか分からないけど、自分たちのメンタルは「俺らは強い」って。ジャンピも強いけど、僕たちは内と外のバランスも取れている。ジャンピも東山も試合で頑張ってほしいし、活躍してほしい。今回が最後だから試合がしたいです。

他にやりたいのは、いつも福岡第一です。ニューイヤーカップではめっちゃ良い試合をしたけど、最後の第4クォーターでチームがファウル4つになってからみんなビビって強くディフェンスできなくなりました。その第4クォーターがあって試合は負けました。福岡第一と、あと開志国際や中部第一には強い留学生がいて、あまりやったことはないけど動画とか見て良いプレーをしているのは知っています。彼らともやってみたいです。

──ウインターカップを終えたら卒業です。卒業後はどんな選手になりたいですか?

強い選手になってプロになりたいです。いつもNBAでレブロン・ジェームズやヤニス・アデトクンボを見ています。自分もレブロンやヤニスのような強い人になりたい。ヤニスのダイブとかフィニッシュとか、あんなプレーをしたいです。あとニコラ・ヨキッチはアシストパスが上手くて、自分が得点できない時はアシストで他の人に点を取らせるのが上手いです。自分がそういうプレーをできればチームはもっと良くなると思います。

──ウインターカップではどんな戦いをしたいですか?

優勝を目指します。行けると思うけど、チーム全員で一緒に行く。試合は5人でやっているし、試合は40分あるから1人では絶対にしんどい。ベンチもいる。自分でやりたいばかりではあまり活躍できへんと思うので、良いコミュニケーションを取っていきます。自分だけじゃなくチームでやれば、絶対にウインターカップでめっちゃ活躍できる。ホンマに今年はみんな目標があります。日本一を目指して頑張ります。