延岡学園

今年で3年連続17回目のウインターカップ出場となる宮崎県の強豪、延岡学園。日本一を見据えながらも、過去2年間で先輩たちが超えられなかった『ベスト4』を第一の目標として練習に励んでいる。ゲームキャプテンを務める木下岳人とポーグ健は下級生の頃から試合に出場し、寮も3年間同室の仲良しコンビだ。チームを引っ張る2人にウインターカップへの意気込みを語ってもらった。

「留学生がいるチームでやりたいと思いました」

──まずは自己紹介をお願いします。

木下 木下岳人です。大分県の明豊中学校出身です。1年生の時に全中に出て、3年生の時は九州大会でベスト16でした。ポジションはポイントガードで、得意なプレーは速い展開に持っていって味方にアシストすることです。

ポーグ ポーグ健です。沖縄県の港川中学校出身です。2年生の時にジュニアオールスターに出て、3年生の時は九州大会でベスト4でした。ポジションはパワーフォワードで、センタープレー、トップや45度からの1on1も得意です。沖縄から来て、言葉や気候の違いもありましたが、今は延岡で充実した生活を送れています。

──では、延岡学園に進学した理由を教えてください。

木下 大学やプロに行ったら外国人選手がいるチームが今は主体になっているので、高校の時からそういったレベルが高い選手とプレーして慣れておきたいと思って、留学生がいる延岡学園に入りました。

ポーグ 地元の学校からも誘われたんですが、木下と同じで全国で勝つには留学生がいるチームでやりたいと思い延岡学園を選びました。

──実際に留学生と一緒にプレーしてみて、大変なことはありますか?

木下 自分が思っていることが上手く伝わらずに、1、2年生の頃はプレーが噛み合わないことがありました。それでも、自分たちも片言ですけどちょっとずつ英語が話せるようになってきて、今は留学生ともコミュニケーションを取れるようになり良いプレーができていると思います。ただ、英語をしゃべるのはめちゃくちゃ恥ずかしいです(笑)。

ポーグ 僕は英語はあまりしゃべれないけど、リスニングは結構できます。木下の英語は上手ですよ。

──2人にとって留学生がキーポイントで延岡学園を選んだとのことですが、2018年に延岡学園の留学生プレーヤーが審判を殴打する事件が起きてしまいました。

木下 ちょうど入学してすぐの頃にその事件が起きてしまって、当時はすごく焦りました。それでも監督が代わったことで、監督と留学生のコミュニケーションの取り方が変わりました。楠元(龍水)先生は生徒に寄り添ってくれるというか。自分たちもその問題が起きてから留学生に対して日本語でもできるだけコミュニケーションを取るようになって、留学生を大事にしようという意識があります。

延岡学園

「僕も小さい選手なりに頑張りたい」

──ポーグ選手から見て、木下選手はどんな人ですか?

ポーグ ガードとして一人ひとりの個性を理解していて、自分が欲しいところにパスを出してくれるので、とても良い選手だと思います。学校の中では結構静かであまりしゃべったりはしないですが、自分と木下は3年間ずっと寮が同部屋で、部屋の中ではとてもうるさいです(笑)。

──木下選手から見たポーグ選手はどんな人でしょうか?

木下 チームの中心となる選手です。チームが困っている時に点を取ってくれますし、後ろにいてくれると存在感が大きいですね。いるだけで安心できます。学校生活でもクラスのムードメーカーというか、学校のムードメーカーです。知る人ぞ知るという感じで、学校の中でも有名です。

──目標にしている選手やあこがれの選手はいますか?

ポーグ 好きな選手はヤニス・アデトクンボですが、目指すにはちょっと上すぎるというか。僕は地元が沖縄なのでBリーグでは琉球ゴールデンキングスが好きで、今シーズンから入ってきたドウェイン・エバンス選手がオールラウンダーにこなせる選手なので、そこを目指したいです。

木下 Bリーグの選手だと富樫勇樹選手で、一番目標にしている身近な選手だと東海大学の河村勇輝選手を目指して頑張っています。身長もその2人は同じぐらいなので。もちろん、身長はもっと欲しいとは思いますが、富樫選手も日本代表で活躍していますし、河村選手も高校生の時に特別指定でBリーグでプレーしていました。その2人が小さい選手でもやれるということを証明してくれているので、僕も小さい選手なりに頑張りたいです。

──2人は昨年もウインターカップを経験していますが、どうでしたか?

木下 初めてウインターカップに出て全国上位のチームと戦ってみて、自分たちのバスケットができる時もあったし、相手に止められて苦しい時間帯もありました。それを経験して、自分たちよりも強いチームはいるんだと痛感しました。

ポーグ 自分は4番ポジションで出ていたんですが、2年生の時は今みたいにオールラウンドなプレーができなくて、リング下にいる時間が長かったんです。4回戦で福岡大学附属大濠とやった時に、結構ブロックされてしまって身長の差を感じました。

延岡学園

「延岡学園の持ち味は速いバスケット」

──ウインターカップでの今年の目標を教えてください。

木下 目標は優勝ですが、まずはメインコートに立って1勝することです。去年の先輩たちのベスト8を超えることがチームの目標です。

ポーグ ガードに木下がいて、2、3番にもシューターがいるので、平均的にどこからでも得点を取れるのが今年のチームの長所です。あと、1年生と2年生に留学生がいて、どっちも走れてリバウンドを取ってくれる選手です。ディフェンスからのブレイクも持ち味だと思います。

──ウインターカップで対戦したいチームはいますか?

ポーグ 僕は去年のインターハイで負けた北陸高校にリベンジしたいですね。

木下 個人的には東山の米須(玲音)選手は小学校の時から試合をしていて仲も良かったり、洛南の小川(敦也)選手も幼馴染なので、その2チームとはやりたいですね。あとは、福岡第一さんや大濠さんとも試合をしたいです。

──以前、楠元コーチに取材をした時に「全国ベスト4の壁を破るには木下選手とポーグ選手がキーマンになる」と言っていました。責任重大ですが、自信はどうですか?

ポーグ ドンと来いです。

木下 僕たちは去年から試合に出ているので経験値が他の3人とは違います。なので、そこはドンと来いです。

──楠元コーチはプレー面だけでなく、「全国から応援されるチームを目指している」とも言っていました。その中で選手が意識して取り組んでいることはありますか?

木下 まずは身近な学校や地域の方々に応援してもらうために、地域の方と交流すること、日頃の学校生活を真面目に過ごすことを意識しています。あとは、試合会場や体育館での態度や挨拶、トイレのスリッパを並べることだったり、そういった細かいところから変えていかないといろいろな人からは応援してもらえないと思うので、そういう身近なところから変えていくようにしています。

──では、最後にウインターカップでの注目ポイントを教えてください。

ポーグ 3ポイントシュートや高い位置からの1on1、センタープレーなど、どこからでも点を取れるところに期待して見てほしいです。

木下 個人的には小さくても高い相手に勝てるようなプレー、あとは会場を沸かせるアシストパスなどを見てほしいです。延岡学園の持ち味は速いバスケットなので、ディフェンスからのリバウンドやルーズボールを徹底してブレイクで点を取るところを注目してほしいです。