「ディフェンスからファイトする意識」を押し出す快勝劇
11月15日、富山グラウジーズが敵地で川崎ブレイブサンダースと対戦。ゴール下を制圧し、前半から高確率でシュートを沈めることで93-82と快勝した。これで連敗を2で止めた富山は11勝4敗、逆に連勝ストップの川崎は10勝5敗で約2週間のブレイクを迎える。
第1クォーター、富山は最初のプレーで宇都直輝が得意のドライブでバスケット・カウントを獲得。直後にスティールからの速攻でジュリアン・マブンガがダンクと先制パンチで主導権を握ると、前田悟の3ポイントシュートも飛び出し12-4と先手を取る。富山はリチャード・ソロモンが欠場する中、「昨日も強調したかったですが、ファウルももらえずに得点が伸びなかった」と浜口炎ヘッドコーチが振り返るインサイドアタックが機能し、このクォーターで9点をリードする。
第2クォーターに入っても富山の流れは変わらない。川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが「絶対にやらせてはいけない」と警戒していたレイアップを次々と決めるなど、ゴール下でしっかり得点できることで相手ディフェンスを収縮させ、外も気分良く打てる好循環となった。城宝匡史の連続3ポイントシュート成功など富山が内と外でバランス良く得点を重ねていく一方で、川崎はオープンショットを作り出すも決め切れない。
その結果、前半で富山はフィールドゴール成功率60%、3ポイントシュート11本中6本成功、川崎はフィールドゴール成功率は50%と悪くなかったが、3ポイントシュートが9本中1本成功に留まり、富山が53-35と大量リードを奪った。
第3クォーター序盤、川崎はパブロ・アギラール、ニック・ファジーカスと前半不発に終わった3ポイントシュートが入り反撃開始。さらに辻直人も続くことで点差を10点にまで縮める。だが、富山は終盤に橋本晃佑が値千金となる連続3ポイントシュートで川崎に傾いた流れを断ち切る。16点と大量リードを保って第4クォーターを迎えた富山は、そのまま危なげない展開で逃げ切った。
富山の浜口ヘッドコーチは、「今日はソロモンが出られない中、チームとしてディフェンスからファイトする意識が昨日より感じられました。そしてターンオーバーが少なかったです。昨日は川崎さんより11多いことで、パーセンテージは悪くなかったですがシュート本数の差で負けました」と総括。前日の16から9に減少させたターンオーバーの改善を勝因に挙げている。
宇都直輝「自分たちが強いと思ってはいない」
今日の勝利で、富山は強豪揃いの東地区で3位の好成績でブレイクを迎える。ただ、今日15得点を挙げた中心選手の宇都直輝は「僕らは自分たちが強いと思ってはいないです」と語る。
「負けパターンが同じで、そこをなくしていかないと東地区の強豪相手には戦う以前の問題になってしまいます。昨日の負けは点差以上の差を感じてしまいました。今は11勝4敗で上位にいますが、これは最終的な順位ではないです。先を見据えて強豪相手に戦えるレベルにしていきたいです」
ブレイク明け、富山はアルバルク東京(1試合)、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(2試合)、宇都宮ブレックス(1試合)、川崎(2試合)、千葉ジェッツ(2試合)とすべて勝率5割以上の相手との8連戦が待ち構えている。果たして強豪と渡り合える実力を備えているのか、来月は富山の真価が問われる注目の1カ月となる。
川崎の佐藤ヘッドコーチは、敗因をこう語る。「富山さんが昨日とは守り方を変え、ディフェンスの強度を上げて激しくやってきたところでオフェンスの対応が遅れてしまいました。切り替えの速さに対応できず、ウチがやりたいディフェンスが出だしでできなかった。ボールプレッシャーをかけて遅らせることができず、ズルズルといってしまい前半で53失点をしたことがすべてでした」
マティアス・カルファニ、ジョーダン・ヒースが揃って故障離脱と苦境に直面した川崎だが、それでも上位の成績をキープ。琉球、千葉、富山と難敵との試合が続いた11月の5試合を終えて、指揮官はチームの現状をこう語る。
「今年やろうとしていたことを、10月末からのショートブレイクでしっかり共有して5試合に臨みましたが、より課題が明確になりました。どういうディフェンスをされた時に得点が止まってしまうのかが見えました。収穫もありましたし、より修正しなければいけないところ、できているところが見えた5試合となったので、そこを踏まえてチームを作っていきたいと思います」
この2週間のブレイクで、どこまでこの課題を修正し、新戦力マット・ボンズをチームに馴染ませることができるのか。富山と同じく、川崎も12月にはどんなチームに進化できているのか見逃せない。