白熱の逆転劇、ラベナは「勝って皆さんをハッピーに」
三遠ネオフェニックスは敵地で島根スサノオマジックと対戦。新型コロナウイルスの影響で来日が遅れたサーディ・ラベナのデビュー戦となった。ラベナはアジア特別枠で三遠に加入した23歳のフィリピン代表選手。フィリピンの大学No.1プレーヤーと評され、若くして代表デビューを果たしているが、大学卒業後に自国リーグではなくBリーグでプロデビューすることを選んだ。
そのラベナはいきなり先発出場。その抜擢に応え、開始1分20秒、クロスオーバー一発で山下泰弘を振り切ってのアタックでファウルを誘い、フリースローで初得点を挙げると、開始4分には3ポイントシュートを打つモーションでディフェンスの逆を突いて一気にダンクまで持っていき、身体能力の高さを見せ付けた。それでもチームメートとの連携は不十分。ドライブで相手ディフェンスを引き付けてキックアウトのパスを送るも、受け手と呼吸が合わずターンオーバーとなるシーンも見られた。
ゲームメークを担当していたネナド・ミリェノヴィッチがケガで欠場となったこともあって三遠は攻守が噛み合わず、島根に7点のリードを許すも、第1クォーター途中にラベナとの交代で入った寺園脩斗がリズムを立て直すとともに、自らも思い切りの良いシュートを連続で沈めて逆転に成功した。
第1クォーターは三遠がセカンドユニットの時間帯に逆転まで持っていったが、第2クォーターは島根のセカンドユニットが奮起する。タイミング良くゴール下に走り込むウィリアムス・ニカにパスを合わせ、北川弘の3ポイントシュートも当たり始めて42-41と1点をリードして前半を終えた。
後半も点差の離れない展開が続く。島根はリード・トラビスとニカがインサイドを突き、三遠はバランスの良い攻めからステヴァン・イェロヴァツが精度の高いミドルジャンパーを沈め、一進一退の攻防に。
勝負の第4クォーター、ラベナがドライブで仕掛けてデモン・ブルックスのディフェンスをかわしてジャンプシュートを決め、守ってはブルックスのアタックを止めてチームに勢いを与える。残り5分にはボールムーブメントでズレを作ったところでパスを受けると、リムへと突っ込むのではなく軽快なサイドステップでディフェンスをかわしてのジャンプシュートも決める。さらには鈴木達也がドライブで仕掛けるタイミングに合わせて自分もカットイン。パスを呼び込んで島根を突き放す得点を決めた。
連携には課題を残すも、身体能力の高さは存分に披露
この直後の残り4分には川嶋勇人が値千金のスティールから、相手のアンスポーツマンライクファウルを引き出し、フリースロー2本を決めて79-69と点差を2桁まで広げた。
これで勝利は決まったかに思われたが、この4日前に鈴木裕紀ヘッドコーチが成績不振の責任を取って辞任したばかりの島根にも意地があった。アウトサイドのシュートが入らない状況で、ペリン・ビュフォードとブルックスにボールを集めて、強引にインサイドをこじ開ける。ベテラン司令塔の山下は的確なゲームコントロールで、ファウルがたまり身動きの取れない三遠を攻め立てるとともに、値千金のスティールからの速攻も決めて猛追。残り19秒で82-81と逆転に成功した。
それでも勝利をもぎ取ったのは三遠だった。ピック&ロールでズレを作った川嶋勇人がドライブで仕掛け、厳しい体勢ではあったがブルックスのファウルを引き出す。このフリースロー2本を決めて再逆転。ラスト3秒は高さ対策でラベナを戻して守り切り、83-82で勝利した。
プロデビュー戦で勝利に貢献したラベナは「ありがとうございます」と満面の笑み。「この試合を見てくれたファンの皆さんに感謝したいです。ドライブは得意ですが、チームと話をして必要とされること、リバウンドでもパスでもチームが勝つために必要なことをやっていきます。明日もう1試合勝って、皆さんをハッピーにしたいです」
ラベナは21分44秒の出場で13得点、2リバウンド2アシスト。これからチームメートと呼吸が合うようになれば、特に攻撃面ではよりボールに絡み、存在感を見せるはずだ。開幕9連敗を喫したチームは前節の初勝利に続き2連勝。ようやく上昇気流に乗ったようだ。