ニック・ファジーカスと八村塁を加えた新生日本代表、その戦いぶりはどう変わる?

2018/06/12
日本代表
980

文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦、Getty Images

日本代表の課題、リバウンドは大幅改善の見込み

6月11日、ワールドカップアジア一次予選のWindow3となるオーストラリア戦(6月29日)、チャイニーズ・タイペイ戦(7月2日)に向けた男子日本代表の候補選手が発表された。フリオ・ラマスヘッドコーチの下ではお馴染みのメンバーが多く顔を揃えた中、注目すべきは2人の新顔、来年のNBAドラフト指名が有力視される八村塁、帰化選手であるBリーグ最強ビッグマンの呼び声高いニック・ファジーカスだ。

八村、ファジーカスともにラマス体制になってからの代表活動は今回が初で、戦術の習熟度は他の選手たちに比べて劣っているのは否めない。しかし、八村は日本バスケ界史上最高のタレント力を持つ至宝であり、ファジーカスは史上最高の帰化選手と、2人ともに圧倒的な個の力を持っている。八村が4番、ファジーカスが5番ポジションで中心選手としてプレーするのは確実だ。というよりも、ここまで1次予選で全敗の日本にとっては、この2人の力を最大限に生かすことこそが2次予選進出に向けての最重要課題である。

この2人が加わった効果で最も分かりやすいのは、日本最大の課題であるリバウンド力だ。ファジーカスは1試合平均10.9リバウンドをマークしたBリーグのリバウンド王。そして、八村は201cmとインサイドの選手としてはサイズ不足であるが、それを補って余りあるジャンプ力を始めとした身体能力の持ち主であり、他の日本人選手にはない空中戦での強さを誇る。また、自らリバウンドを取り、そのまま速攻に加わってフィニッシャーとなれる機動力も頼もしい。

アウトサイドからも得点できるファジーカスの魅力

プレースタイルから見ても2人の相性は良さそうだ。八村は昨シーズン、ゴンザガ大で3ポイントシュートをほとんど打たなかったように、インサイドで得点を重ねていくタイプ。それもゴール下でボールをもらってというよりも、ミドルレンジからアウトサイドエリアでパスを受け、そこからのアタックで攻めるパターンを得意としている。

一方、ファジーカスは210cmの高さを生かしたゴール下だけでなく、アウトサイドシュートも非凡で、どこからでも安定して得点を挙げられるスコアラーだ。彼がアウトサイドに位置して、相手のビッグマンを引きつけゴール下から離すことで、八村のインサイドアタックがより破壊力を増すという相乗効果も大いに期待できる。相手ビッグマンが、八村のペネイトレイトへのヘルプに行きやすい位置に下がれば、ファジーカスがどんどんアウトサイドシュートを打つことができる。

ファジーカスのこの『ストレッチ4』的な起用は、彼が帰化選手扱いとなったシーズン終盤、ジョシュ・デービスやルー・アマンドソンの個人技をより生かすオプションとして川崎が使用したこともある。そういう意味で、ファジーカスにとってはある程度の経験はある。

ドライブで切れ込むガード陣のパスに合わせる八村

今年のNCAAトーナメント2回戦のオハイオ州立大戦での八村は、ラインアップの関係から高さのミスマッチとなる優位があったにせよ25得点と活躍。この試合が示すように、ゴール下に切れ込んでいくガードのパスにうまく合わせて得点する術に長けている。そして、日本代表にはペネイトレイトではアジア屈指の比江島慎がいる。また、千葉ジェッツでのプレーが示すように、富樫勇樹は切れ味鋭いドライブからゴール下に切れ込んで守備を崩し、ゴール下でフリーのビッグマンにパスを供給できるポイントカードだ。

八村、ファジーカスが、ラマスの指向するバスケットボールをどれだけ実行できるか。他の選手とのコンビネーションについても、どこまでスムーズにいけるのかは大きな不安要素である。ただ、彼らにはそういったネガティブな要素を吹き飛ばしてくれるだけの、圧倒的な個の力がある。だからこそ、2人のもたらす変化によって、日本代表が大きく進化すると期待したい。