スポーツにケガは付き物ですが、年齢や競技レベルにかかわらず、できることならケガと無縁でプレーを楽しみたいもの。それでもバスケットボールは激しいコンタクトがあり、急なダッシュとストップ、ジャンプと着地を繰り返すハードな競技です。そんなバスケをケガなく続けるために、ケガの予防や対処の知識を得ておきましょう。スポーツ医学の専門家である近良明医師に、特に成長期にある10代までのバスケ選手によくある疑問に答えてもらいました。皆さんも疑問がある場合はこちらに質問をお寄せください(ただし、痛みや不具合がある場合は早めにお近くの専門医に相談しましょう)。
新潟県新発田市出身。スポーツ医学と肩関節外科が専門の整形外科医として新潟県新潟市に『こん整形外科クリニック』を構える。新潟県バスケットボール協会スポーツ医科学委員長を務める。
[Q]運動やストレッチで背は伸びますか
今まさに成長期の中1男子ですが、できるだけ背を伸ばしたいです。カルシウムなど必要なものは摂取するようにしていますが、それ以外に運動やストレッチなどで背を伸ばすのに効果のあるメニューはありますか?
[A]身長の伸びを止まりにくくする、と考えましょう
身長を伸ばすためというより、身長の伸びが止まりにくくする、と考えると、できることはいくつかあります。私の友人のバスケットのトレーナーの研究によると、次の3つが大事です
1.筋を柔らかくしておく
身長が伸びる時は、筋肉が伸びるスピードより骨の成長のほうが速くなります。筋の柔軟性を確保しておくことで、骨の成長を邪魔しなければ、より伸びる可能性があるということです。フォームローラーなどを用いて筋を柔らかくしておくことは有用です。
2.成長ホルモンの力を借りる
成長ホルモンの原料となるアミノ酸の確保のため、タンパク質をしっかり摂ることが重要です。また、成長ホルモンは睡眠中に約70%分泌されると言われており、また深い眠りの時に分泌されます。しっかり睡眠時間を確保すること、スマホやPCを使用しすぎて眠りが浅くならないよう注意することが大事です。
3.膝の痛みを我慢しない
成長期の膝の痛みは、オスグッド病であることが多いです。これは成長軟骨(骨端軟骨)の損傷ですので、骨端軟骨に負荷がかかりすぎると、早期に骨端背の閉鎖(膝での骨の成長の停止)が起こる可能性があり、これは身長の伸びの停止を意味します。したがって、オスグッド病で痛みがあるのに無理にダッシュするような練習はしないほうが良いと考えられます。