カワイ・レナード

33得点、14リバウンド、7アシスト、5スティールと大活躍

クリッパーズはマーベリックスとのシリーズを4勝2敗で制し、カンファレンスセミファイナルへと駒を進めた。

プレーオフは総力戦。クリッパーズは先発のマーカス・モリスが第1クォーターにルカ・ドンチッチを止めた際に叩いてしまい退場となったが、他の選手がカバーして試合の主導権を保ってきた。それでもドンチッチのパフォーマンスはこの第6戦も強烈で、第3クォーター途中に20点のリードを奪った後もマブスは猛然と巻き返してきた。

しかし、クリッパーズはカワイ・レナードという切り札を擁していた。第4クォーターに入ってしばらくベンチで休んだレナードがコートに戻ったのは残り9分半、88-82とマブスの射程圏内にとらえられたところ。その時点で勢いは完全にマブスにあったが、レナードが入ることで試合の流れは一変した。ドンチッチに疲れが見えたタイミングでレナードが4連続得点を決めてリードを2桁に広げる。その後もディフェンスで睨みを利かせ、マブスの反撃を断ち切った。

「僕には経験がある。プレーオフは思い通りになるとは限らないので、戦い続けなきゃいけない。良い時も悪い時もあるから、プレーを止めないことが大事だ」

ゲームハイの得点こそ38得点のドンチッチに譲ったものの、レナードは33得点、14リバウンド、7アシスト、5スティールと、その恐るべきオールラウンダーぶりを発揮した。

試合後の会見で、いつものように表情を変えずに淡々と言葉を連ねるレナードに、「落ち着きすぎていて、チームが乗れない要因になっているのでは?」との質問が記者から投げ掛けられた。喜怒哀楽を表に出してプレーし、自分の好調をチーム乗り移らせるドンチッチと比較しての質問だろう。

これに対して彼は「キャリアを通じて僕はこんな感じだけど、どのチームでも目標とする場所まで来ることができた。だから悪い影響があるとは思わない。僕のプレーを見れば、チームにエネルギーを与えているのは分かってもらえるはずだ」と答えた。

「チームメートが同じミスを繰り返している時なんか腹が立つこともあるよ。彼らには成長してほしいからね。一回のミスなら確認し合って、次のポゼッションで改善すればいい。ただ、どの選手もシュートを決めたいと思っているけど、決まらない時は決まらないものさ。結果はコントロールできないのだから、怒りすぎても喜びすぎてもよくない」

ファーストラウンドとしては不条理とも言える苦戦を強いられたが、それでも6試合でシリーズを決着させることができた。レナードの表情は変わらなくても、チームの勝利はもちろん喜ばしいものだ。「今日で家に帰らなきゃいけない可能性もあったけど、たどり着きたい場所へまた一歩近づくことができた。今夜はファーストラウンド突破を祝うよ。勝利は楽しむべきだし、その喜びは奪われるべきではない。でないと何のためにプレーしているか分からないからね。そして明日からまた次の試合に備えるよ」

『バブル』の環境で戦いはメンタル面での苦しみも多い。このところ心からの笑顔を見せているのは敗退が決まって地元に戻ったチームの選手たちだ。「家族とも会えないし、毎日が同じことの繰り返しで試合から気持ちが離れることがないけど、僕はリハビリで同じような生活を経験している。長い間、自宅とジムの往復だったからね」とレナードは言う。

「ここではチームメートが家族だ。彼らと一緒に過ごして外へ出たりジョークを言い合って笑ったり。あまり深刻に考えすぎずに日々を過ごしていくよ」

ファーストラウンドとしては不条理とも言える苦戦を強いられたクリッパーズは、ここで一呼吸入れることができる。カンファレンスセミファイナルの相手は、GAME7までもつれたナゲッツvsジャズの勝者。ここもまた激闘になるに違いないが、どちらが勝ち上がってこようとレナードは常に準備ができているはずだ。

「対戦相手が決まるまでは何とも言えないけど、とにかく集中するよ。ミスを少なくして、プランをきっちり実行するんだ」