文=立野快 写真=B.LEAGUE

西宮の対策を上回るディフェンスで、終始優勢を保つ

4月15日、千葉ジェッツがホームで西宮ストークスと対戦。試合を通して3ポイントシュートが決まらないジェッツだったが、大野篤史ヘッドコーチが「オフェンスでシュートが入らない中でディフェンスを40分やり切れたことが勝利につながった」と振り返るように、堅守速攻のスタイルを貫き通して西宮を圧倒、最終スコア85-69で勝利した。

第1クォーターだけで7リバウンドをもぎ取ったマイケル・パーカーがエンジン全開の8連続得点で千葉に勢いを与える。ここを止めようとした谷口淳が早々にファウルトラブルになり、西宮はプランを遂行できない。ハーバート・ヒルを中心に反撃を試みるも、千葉の激しいディフェンスを引きはがすことができず、タフなシュートを打たされては速攻を浴びる羽目に。千葉は富樫勇樹の7連続得点などでさらに引き離し、26-14と大量リードを奪った。

第2クォーター、梁川禎浩と岡田優の3ポイントシュート、キャメロン・リドリーのインサイドで西宮が反撃し、点差を1桁に戻す。それでも千葉は守備から立て直すことで大崩れしなかった。西宮は選手もボールも止まってしまって攻撃の形が作れず、強引に打開しようとしてはターンオーバーを連発。このクォーターも千葉が取り、41-27で前半を終えた。

後半、千葉に多少の緩みが見られないでもなかったが、安定してリードを保ちながらベンチメンバーにもプレータイムを与える余裕の試合運びで、85-69で千葉が連勝を収めている。

悩める西宮、残留プレーオフへの準備を進める

千葉はこれで40勝に到達。東地区2位のアルバルク東京とのゲーム差を2に広げると同時に、西地区首位の琉球ゴールデンキングスと40勝13敗で並んだ。自地区1位だけでなく、3地区間で1位か2位を取れば、チャンピオンシップでセミファイナルまでのホームアドバンテージが得られる。昨シーズンの千葉はこの部分でハンデを背負い敗退することになっただけに、「1勝でも多く積み上げる」の意識が徹底されている。残り7試合、琉球とは最終節に直接対決2試合を残しており、この競争にも注目が集まりそうだ。

一方の西宮は残留プレーオフへ進むことがすでに決まっており、来るべき決戦に備えた準備を着々と進めている様子。強豪の千葉に対してリバウンド対策はうまく行かず、インサイドの合わせも止められなかったが、それでも積み上げていくのが大事。第1戦より内容が向上したのは間違いないし、千葉の最大の武器であるファストブレイクからの失点は13に抑えた。

まだまだ課題は多いが、最大の欠点はボール運びと崩しの方程式を確立できていないこと。スコアラーであるべき道原紀晃や岡田がボール運びの役割に回り、ヒルやリドリーに預けたところでオフェンスが止まってしまう。千葉ディフェンスの圧力が強かったこともあるが、ここでスムーズな流れを作ることで、西宮の武器であるスコアラーの力も生きてくるはずだ。