デイミアン・リラード

延長ラスト1分で『デイム・タイム』が炸裂

西カンファレンス9位のトレイルブレイザーズは、シーズン再開初戦で同8位のグリズリーズと対戦した。

プレーオフ進出を左右する重要な一戦で両チームともいきなりフルスロットル。ジャ・モラントにジャレン・ジャクソンJr.と若手がイキイキとプレーするグリズリーズに対し、ブレイザーズはシュートタッチの良いCJ・マッカラムを中心に渡り合う。前半はブレイザーズ、後半に入ってグリズリーズが盛り返して逆転に成功するも、終盤になってブレイザーズがギアを上げる。残り2分からデイミアン・リラードがダブルクラッチを沈め、ゴール下でルーズボールに飛び込んだザック・コリンズが作ったチャンスをカーメロ・アンソニーが3ポイントシュートで決めて逆転に成功。しかしグリズリーズも最後の攻めを強引に得点へと繋ぎ、124-124で試合はオーバータイムへ。

延長になると、グリズリーズには力が残っていなかった。ジャ・モラント以外の主力が軒並みファウルトラブルに陥り、ヨナス・バランチュナスがコートに立てず、モラントもクラークもガス欠気味。ベテランが多く8人でローテーションを回すブレイザーズの方が体力的に厳しいかと思われたが、実際は逆だった。2分半でブレイザーズが3本の3ポイントシュート成功を含む11-0のランで一気に突き放す。

それでも終盤にミスが出て、残り1分で3点差まで詰め寄られたのだが、ここで『デイム・タイム』が訪れた。背中に痛みがあり満足にプレーできなかったと試合後に語るリラードは、延長まで含めて45分間プレーしたがボール運びや崩しの局面をマッカラムに託すシーンがしばしばあった。

わずかな時間、コートを離れている間も彼はベンチに座らなかった。「第1クォーターに痛めた部分がずっと痛かった。サイドラインでは何とかその部分を緩めようとストレッチをするか自転車に乗っていた。ベンチに座るつもりはなかった」と彼は言う。

それでも、試合最後の勝負どころは彼の時間帯だ。残り1分、チームメートは外にポジションを取ってリラードが仕掛けるためのスペースを作り出す。一瞬の加速でディアンソニー・メルトンを振り切ったリラードを止めようと、グリズリーズの選手がその進路をふさいだが、リラードにパスを出すつもりもなかった。ペイントエリアの密集地帯に飛び込んだ彼は、空中でモラントを、そこからジャクソンJr.をかわすダブルクラッチでゴールネットを揺らす。

これが決定打となり、ブレイザーズが140-135で激戦を制した。

「エネルギーに溢れた若いチームが相手で、素早くハードにプレーしてくる。厳しい戦いになることは分かっていた」とリラードは言う。「僕たちは経験を生かして、お互いを信頼して試合に臨んだ。結局は勝ちたい気持ちで僕らが上回ったんだと思う」

西の8位争いは大混戦だが、ユスフ・ヌルキッチとザック・コリンズが復帰したブレイザーズには安定感があり、グリズリーズとのプレーイン(プレーオフ8位の枠を争う特別ルール)が行われる可能性が最も高い。このカードが再び見られるとなれば、リラードの『デイム・タイム』が勝敗を左右することになりそうだ。