増田匡彦

「会場に行って応援する、またそれだけじゃない楽しみ方を」

──実際は新型コロナウイルスの影響がかなり大きく、まだまだ長引きそうです。

そうですね。東京オリンピックの今年にジャンプアップするつもりで計画していたものが崩れてしまい、これまでの状態に戻すのに最短でも1年はかかりそうです。でも、この状況で今までには思いつかなかったアイデアを出せるようになっています。これは日常ではできない経験で、そこで力をつけた実感はあるので、世の中が正常に戻った時にそれを掛け算できればすごいことになると思っています。

残念ながら2020-21シーズンは我慢の1年で、投資ができないので目に見えて大きなことはできません。しかし昨シーズンが途中で終わってしまった分、新しいプロモーションはしっかりと計画しています。Bリーグの広報が日本代表も担当し、ウインターカップまでやるようになって、バスケ界全体を考えれば良いことなんですが、Bリーグではシーズンが終わる前に次のシーズンのプロモーションを考えることができませんでした。それが今回は3月からそこに目を向けて、Bリーグの認知を高めるために何が必要かを徹底的に分析しました。それがハマればこの1年で、皆さんがBリーグのことを目にする機会が増えたと感じられると思います。

──新しいファンを取りに行く手法としては、どんなものを考えていますか。

すべては言えないんですけど、例えばBリーグはSNSに力を入れてきたと言っていますが、ラグビーのワールドカップほどではありません。ラグビーはそこで起きた生の感動を即時にSNSに展開して、ファンに伝えて大きな反応がありました。僕らのSNSはそこまでできておらず、そこは改善の余地があります。スター選手を狙って作っていく取り組みも必要です。あまり言いすぎるとヤラセみたいに感じられるかもしれませんが、自然に生まれるスターをただ待つわけにはいかないので、テレビの報道番組で扱ってもらうだとか皆さんの目に魅力的な形で触れる機会が増えるような環境をこちらで整えています。

来年にオリンピックがあって、2023年にはまたワールドカップがあります。ここから3年で一気にバスケ界の見える世界が変わってくるはずです。一発の花火ではなく、年間を通じて仕掛けていきます。認知を図るために年間を通じて打ち続けていって、それが結果的にLEDコートより大きなインパクトだったね、という形にしたいです。

新型コロナウイルスの影響は大きいですが、それでも会場に行って応援する、またそれだけじゃない楽しみ方を提供するのがバスケだと思うし、今までにないスポーツ観戦を作るのがBリーグの使命だとも思っています。日本代表も含めたオールバスケで新しい観戦体験ができるようになった時に「ほら、バスケって面白いでしょ」と今のBリーグを応援する皆さんが周りの人たちにお勧めできる、自慢できるように。Bリーグを近い将来にそんなところまで持っていきますので、期待していてください。