文・写真=鈴木栄一

一度もビハインドを背負わなかった琉球の完勝

2月16日、琉球ゴールデンキングスが敵地の青山学院記念館に乗り込みサンロッカーズ渋谷と対戦した。第1クォーターで先行すると、そのままリードをキープする盤石の試合運びによって70-57と快勝している。

第1クォーター、ともに外国籍オン・ザ・コート「1」の場合、日本代表のアイラ・ブラウンの存在を生かし主導権を握ることが多い琉球は、本日もブラウンがこのクォーターで7得点をマーク。同じくハッサン・マーティンも7得点を挙げると、21-14とリードを奪う。そして、第2クォーターは五分五分の展開で推移し、前半は琉球の6点リードで終える。

第3クォーター、前半に続き先手を取ったのは琉球だった。田代直希、石崎巧の連続3ポイントと持ち味の長距離砲により、開始約30秒でリードを2桁に広げると、そのまま11点リードで第4クォーターに突入。最終クォーター、渋谷は開始から連続得点でビハインドを7点に縮めて流れを引き寄せにかかるが、琉球はここで須田侑太郎、ハッサン・マーティンの得点とすぐにやり返し、主導権を渡さない。あとは大半の時間で2桁リードをキープして勝ち切った。

相手を波に乗らせないディフェンスが機能

琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、57失点とロースコアに抑えた守備について「渋谷さんにやらせたくないところは、チーム的にもあります。そしてサクレ、ハレルソン、満原、長谷川には前半で9点取られたのは痛かったですが、ベンドラメを抑えるなど、チームディフェンスではありつつ、個人を潰していったのが大きかったです」とコメント。渋谷の個人スタッツを見ると、ゲームハイの得点がロバート・サクレ、広瀬健太、長谷川智也の11得点と、どの選手も波に乗せなかったのが大きかったと振り返る。

また、オフェンス面では渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチが「チーム全体のフィールドゴールを39%に抑えながら70失点は多かったです。これは3ポイントを22本中9本成功も決められたのが痛かったです」と語ったように、長距離砲を効率良く沈めたのが光った。

この点について、佐々ヘッドコーチは「渋谷さんは、ゴール下のシュート確率を下げさせるディフェンスです。その中でインサイドを経由しながらアウトサイドを打ちきることが大切で、相手の守備を縮めさせてから打つパターンはできました」と振り返る。

一方、勝久ヘッドコーチは、「自分たちがヘルプに行くのを逆手にとられてしまい、ヘルプにいった選手にスクリーンをかけられて外が空いたシーンが多かったです。オープンで打たれていました」と見ている。この両指揮官の言葉が示すように、まずはゴール下の失点を確実に抑えることを重視する渋谷の守備スタイルの隙を琉球が的確に突いたことが、高確率の3ポイントシュート成功を呼んだ。

常勝チームが備えるべき「2試合目の価値」

快心の勝利で初戦を制した琉球ではあるが、今チームがさらなるステップアップに向け、重視しているのはプレーオフでの対戦があり得る勝率5割以上のチーム相手にできていない2連勝をすること。

「まず、ウチらが課題に挙げるのはこのチームに2勝すること。プレーオフを考えると、最悪の5分延長は本当にやりたくないです。ただ、今日勝たないとその課題に取り組めない。今、半分を乗り越えたところです。明日はより体力的に厳しくなる中で戦いきれるのか。そういう点を含めて、どう戦っていけるのか。明日が勝負。2試合目の価値を選手に理解させていきたい」

このように佐々ヘッドコーチは語り、プレーオフで勝ち上がる力をつけるためにも、ここで上位チームの渋谷相手に連勝できるかが大きな意味を持っていると強調する。

一方、3000人を超える観客が集まるなど盛り上がりを見せるホームでの連敗を何としても避けたい渋谷の勝久ヘッドコーチは、次のように課題を挙げて逆襲を誓う。「激しさという面ではある程度はやりたいことはできましたが、リバウンド、ルーズボールへの執着心で相手の方が上回った。相手のプレッシャーに対してアタックすることをもう一度、確認していきたい」

琉球が強豪相手の同一カード連勝という課題をクリアするのか。渋谷がホームの意地を見せるのか、ともに今日は正念場となる2試合と言えるだろう。