文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

連動したチームプレーで前半は三遠のペースに

シーホース三河vs三遠ネオフェニックスのゲーム2。前半は苦戦するも第3クォーターに34得点を奪う猛攻を見せた三河が、その後は流れを渡さず87-74で勝利し、『三河ダービー』を2連勝で終えた。

前半はアウェーの三遠のペースで試合は進む。皆が果敢にリングにアタックし、ヘルプが来たらパスをさばきボールが良く回った。ノーマークを作り出し、田渡修人が2本の3ポイントシュートを確実に沈めるなど先手を取った。

15-14とリードして第2クォーターを迎えても、三遠の流れは変わらない。ウェンデル・ホワイトがシュートレンジの広さを生かし、次々と得点を重ねた。残り6分にはホワイトの3ポイントが決まり、27-16と点差を2桁に乗せた。

三河はアイザック・バッツと桜木ジェイアールがともにオフェンスファウルをコールされるなど、強力インサイド陣がなかなか機能せず重たい展開が続いたが、それでも比江島慎のシュートで締め、30-37と点差を1桁台に留めて前半を終えた。

結果的に前半で大崩れせず耐えたことが後半の逆転劇を呼ぶ。鈴木貴美一ヘッドコーチが試合後に「1桁で終わることを約束してそれを選手が守ってくれたので、後半は逆転してくれると信じて選手を褒めました」と語ったように、後半に入ると三河の逆襲が始まった。

34点を奪うビッグクォーターを作った三河が逆転勝利

後半開始早々、橋本竜馬が高い位置からプレッシャーをかけ鈴木達也からボールを奪い、自らワンマン速攻を決めた。橋本のプレーがチーム全体のディフェンスの意識を向上させるとともに、三河に流れを呼び込む。ディフェンスからリズムをつかむと、オフェンスも活性化した。特に前半は思うようなプレーができなかったインサイド陣が次々とペイントで得点を重ねていく。

そして残り7分、桜木が3点プレーとなるバスケット・カウントを決めて、42-42の同点に追いついた。さらにこの時点で三遠のチームファウルが5に早くも達し、ディフェンスからアグレッシブがなくなってしまう。その結果、流れるようなパス回しから金丸晃輔が次々とミドルシュートを沈めて三河が一気にリードを広げた。このクォーターだけで桜木が13得点、金丸が10得点を記録。34点を奪った三河が試合をひっくり返した。

最終クォーター開始2分を過ぎ、トランジションから田渡に2本の3ポイントシュートを許し、67-63と肉薄されたものの、デザインされたプレーから金丸が3ポイントシュートを沈め、三遠の反撃を断ち切った。

このピンチを乗り切った三河は桜木とバッツのインサイドを強調し、点差を2桁に乗せる。その後は試合巧者ぶりを発揮。安定感抜群のインサイドを軸に時計を進め、2桁前後のリードを保ち続けて勝利を収めた。

金丸「気持ちを切らさずに打ち続けた」

勝利した三河の鈴木コーチは「三遠さんが最初から飛ばして激しく来たので、我々も苦しかった」とリードを許した前半を振り返る。また「前半はリバウンドも負けてますし、シュートで終わらないでミスから相手に得点を与えていたので、そこをしっかり修正していい形で勝てました」と、前半の7から後半はわずか2にターンオーバーを減らしたことを勝因に挙げた。

桜木の25点に次ぐ、24点を記録した金丸は「前半シュートが入らなくて重い展開でしたけど、第3クォーターの入りでクリアにして挑めたのでそこが良かった」と試合を振り返り、「気持ちを切らさずに打ち続けた」ことで後半に16得点を集中させたパフォーマンスにつながったとコメントした。

中地区では2位の富山グラウジーズが千葉ジェッツに連敗を喫したことでゲーム差は9に広がり、三河との独走状態へと入った。三遠は富山と名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの同地区対決を1勝3敗と負け越し、さらに三河との2戦に敗れたことで、4位に転落している。チャンピオンシップ進出のためにも、ここが正念場となりそうだ。