文・写真=鈴木栄一

比江島や金丸と戦い「自分に足りない部分を痛感」

年明け早々、新潟アルビレックスBBは天皇杯のファイナルラウンドに出場したが、初戦でシーホース三河に完敗を喫し、ベスト8止まりという結果に終わった。

序盤からリードを奪われ72-96と大差で敗れる展開となったが、その中でもハツラツとしたプレーで試合にインパクトを与えたのが、11月末に加入したばかりの新潟経営大4年の今村佳太だ。リーグ屈指のタレント集団である三河を相手に、まだプロの世界に入って1カ月でありながら約24分の出場で7得点3リバウンドの数字は、十分に及第点と言えるものだろう。

この試合、今村は三河の比江島慎、金丸晃輔と日本バスケ界を代表するスコアラーとのマッチアップを経験した。「日本を代表する選手と同じポシションでマッチアップしてみて、一つひとつの技術が上手で自分には足りない部分があるなと痛感しました。個人として良い勉強になりました。金丸選手だったらオフボール、スクリーンの使い方、比江島選手はピック&ロール。そしてマッチアップした相手だけではなく、他のところまで視野を広げて見ているのは自分にはない部分です」

トップレベルの洗礼を浴び、力の差を見せ付けられる結果となったが、これは今後の成長のための貴重な経験とも言える。チーム合流当初は数分のプレータイムに留まっていた今村だが、191cmのサイズと機動力を備えている点を買われ、12月24日から3試合連続で先発出場。20分以上のプレータイムを得ており、加入直後の現役大学生でありながら早くもチームで居場所を獲得しつつある。

「プレータイムをいただけているのはありがたい。一つひとつ試合をこなしていく中で、できていない部分はありますし、まだまだできると思う部分もあります。そういった面ではまだ結果は出ていないですが、可能性はあると思っています」

自身の現状を冷静に分析している今村は、中でも「12月から入って来て、ディフェンスがまだまだチーム的にも良くないのが現実。そこで自分の脚、身長を生かし、まず守備でチームの改善につながるように成長していきたいです」と、失点でリーグワーストと苦しむ守備の強化への貢献が、リーグ再開に向けた自分の一番の役割であると強調する。

生粋のホームタウンプレーヤーとしての誇り

今村のここまでの歩みを見ると、小中高から大学とすべて新潟。また、ホームアリーナであるアオーレ長岡のある長岡市出身と、これ以上ないくらいの生粋のホームタウンプレーヤー。だからこそ、「関東(大学リーグ)のレベルが高いのは事実です。ただ、地方でも自分の頑張り方次第でプロになれる。関東の選手たちに負けたくないという気持ちは強かったです。地方の大学生に限らず、今の新潟の小中高生に自分のようなキャリアでもプロで活躍できることを証明していきたいという意識はあります」と、新潟一筋の学生生活を送ってもプロバスケットボール選手として地元でプレーし、成功できることを実証したいとの志を持つ。

プロになって1カ月、「試合になった時、どれだけ練習でやったことをだせるのかが大事。まだまだ、それが出せていないので、普段の生活からいかに試合のことを考えて過ごしていけるかです」と今は日々、あらゆることが勉強と語る今村が、エースキラーとしてどこまで成長していくのか楽しみだ。