『東芝』として挑む最後の天皇杯、三河戦を前に篠山竜青「有終の美で終わりたい」

2018/01/05
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=鈴木栄一

「ディフェンスをもう一回見直そうとやってきた」

昨日、天皇杯ファイナルラウンドの準々決勝で川崎ブレイブサンダースは琉球ゴールデンキングスと対戦。レギュラーシーズンの戦績は琉球が上回るが、地力で勝ったのは川崎だった。6連勝中の勢いそのままに琉球を破り、明日の準決勝へと駒を進めている。

負けたら終わりの一発勝負でモノを言うのはディフェンスだ。琉球を61得点に抑えた川崎のディフェンスについて、主将の篠山竜青は「今日は良いディフェンスができたと思います」と合格点を与えた。特にメリハリの効いたトラップディフェンスが機能し、琉球に攻めの形を作らせなかった。篠山は言う。「12月の大きなテーマとして昨年末からディフェンスをもう一回見直そうとやってきたんですけど、それが身になっていると思いましたし、良いタイミングと強度でトラップできたので、チーム全体の自信にはなりました」

しかし、北卓也ヘッドコーチが「場数が違う」と表現した通り、今シーズン開幕前にチームの大刷新を行った琉球とでは成熟度の違いがあって当然。問題は次、明日のシーホース三河との準決勝だ。「次に当たる三河さんとか、リーグのトップチームにどこまでできるか。ディフェンスで勝つという気持ちを持って挑みますが、そこまでの自信が持てるかどうかは明後日次第です」と篠山も意気込む。

インサイドでは桜木ジェイアールが多彩な仕掛けを持ち、アウトサイドには金丸晃輔と比江島慎を擁する三河を相手にどんなディフェンスを見せるか。川崎のディフェンス力が本物かどうかを問うには、これ以上ない相手だ。

「どうやって戦って行くか、やりながら学んできました」

帰化選手のアイラ・ブラウンを擁してオン・ザ・コート「1」の時間帯でもディフェンスの強度と高さが落ちない琉球に対し、81得点を奪ったオフェンスも十分に機能しており、年末の6連勝も含めてチームは攻守両面で良い状態にある。

シーズン序盤は下位チーム相手の取りこぼしも目立ち、出遅れた川崎だが、ここまで10を喫した敗戦から学んだことで今のチームがあると篠山は言う。「シーズン序盤は勝ち星が伸びずにかなり苦しみました。ニック(ファジーカス)もかなり対応され、辻(直人)とニックのピック&ロールもかなり研究されて、それで散々負けてきているので。特に東地区はサンロッカーズ渋谷を始め、ディフェンスの良いチームが揃っていますし、そういうチームを相手にどうやって戦って行くかをやりながら学んできました」

昨シーズンのようなロケットスタートは切れなかったが、ここに来てまるでNBAのスパーズのように攻守両面で安定感のある試合運びができるようになり、勝ち星を伸ばしている。またチームの一体感も試合を重ねるごとに増している。

「シーズンの序盤は誰かがダイブしても後が続かなかったり、起こしに行かない姿が多く見受けられたんです。そこをコーチングスタッフから口酸っぱく言われて、誰かが倒れたら起こしに行くとかそこから始まって、それが今チーム全体のルーズボールの意識につながっています」

「東芝さんへの恩返しとして優勝したい」

昨シーズンの天皇杯では決勝で千葉ジェッツに敗れた。当然、優勝に懸ける思いは強い。「去年、準優勝で終わってしまったのはみんな覚えてると思います。負けた原因も僕らのブラックアウトみたいな状態で自滅して、決勝の舞台で情けない姿を見せてしまい、すごく心に残っています。ファンの皆さんにも申し訳ない試合を見せてしまったし、相手がどこであろうと去年の自分たちの一つ上を行きたいという気持ちが強いです」

篠山が優勝にこだわる理由はそれだけではない。来シーズンに東芝からDeNAに親会社が変わるということも大きな理由だ。「来シーズンからオーナーが入れ替わってDeNAになるので、そういう意味でも東芝さんへの恩返しとして最後を優勝して、有終の美で終わりたい気持ちはあります。自分たちのゲームで見てる人が何かを感じてもらえるようなゲームをして、優勝したいです」

これまでの歴史を見れば、『事実上の決勝戦』と言っても過言ではない川崎と三河の激突。三河も優勝実績の多い天皇杯への思いは強く、『東芝とアイシン』だった頃からのライバル意識も関係者には少なからずあるだろう。ただ、川崎としてはここで譲るわけにはいかない。昨年の忘れ物を取り戻すため、『東芝』として有終の美を飾るため、篠山はチームを動かす。