「プレーオフではミドルレンジが重要になる」
ウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カーは超攻撃スタイルを採用するロケッツは結果を出せないと見ている。NBAに3ポイントシュート隆盛の時代をもたらしたのは他ならぬ彼が率いるウォリアーズなのだが、それも過度に依存すれば欠点になると考える。
今シーズンのロケッツはリーグトップの1試合平均44本近い3ポイントシュートを試みている。さらにシーズン途中にはアウトサイドからのシュートを強化するために、センターのクリント・カペラを放出しスモールボール戦術のさらなる徹底を図った。ではウォリアーズはどうだろうか。今シーズンの3ポイントシュート試投数は30本程度でリーグ下位の数字だが、これはチームのベストシューターであるステフィン・カリーとクレイ・トンプソンがケガで不在だった影響が大きい。
スティーブ・カーは3ポイントシュート偏重のデメリットをこう説明する。
「最近はポジションに関わらずシュートの本数を増やすというのがトレンドだ。しかし、私がいつも思い出すのは2018年のカンファレンスファイナル第7戦だ。ロケッツは27本連続で3ポイントシュートを外したが、ケビン・デュラントとステフィン・カリーはミドルレンジからのプルアップジャンパーをしっかり決めていた」
現在のNBAでは距離の長いミドルレンジからのシュートは効率が悪いと見なされて敬遠されるが、カーは「ディフェンスが激しくなるプレーオフではミドルレンジからのシュートが重要になる」と説く。
「レイアップも3ポイントシュートも簡単には許してくれない。そうなると、残りはミドルレンジからのシュートだ。もちろん3ポイントシュートの数を増やすこと、フリースローをもらうこと、レイアップを狙っていくことも大事だが、あくまで攻撃の一部であり、バランスの取れたオフェンスが理想だ」
シーズンが中断されている今、どちらの主張が正しいのかは分からない。だが、自分たちのやり方を否定されたロケッツとしては気分が良くはないだろう。シーズンが再開となった時、ウォリアーズとロケッツの対戦は再び熱を帯びるはずだ。