ウインターカップ4日目、岐阜女子が敗れる波乱があった女子のベスト4が出揃う

2017/12/26
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文=鈴木健一郎、丸山素行 写真=小永吉陽子

優勝候補、『3冠』を目指す岐阜女子が姿を消す

12月26日、ウインターカップは大会4日目を迎え、女子の準々決勝4試合が行われた。

朝一番、10時ティップオフの試合で波乱は起きた。安城学園(愛知)がインターハイと国体を制して『3冠』に挑んだ岐阜女子(岐阜)を破り、ベスト4一番乗りを決めたのだ。

大エースのバイ・クンバ・ディヤサンが初戦でケガをした岐阜女子に対し、安城学園は攻守にチームバスケットを遂行。足を使ったディフェンスで岐阜女子に攻め手を与えず、攻めに転じれば思い切りの良い3ポイントシュート、インサイドの合わせ、果敢にアタックを仕掛けてのバスケット・カウントと多彩なオフェンスで、岐阜女子を相手に100点ゲーム。105-79で勝利した。

安城学園の金子寛治コーチはチームへの手応えをこう語る。「スカウティングしたことを選手がうまくやってくれた。相手のいろんなフォーメーションを分かっていたので、それに対応できた。インターハイ後に新しい練習を取り入れて、ディフェンスではマンツーマンの精度を上げ、栄養や身体のケアにも取り組んで、トータルで実力がアップした」

「この試合に合わせて練習の計画も栄養も、昨日のプレータイムも計算してきた」と言う『天王山』を見事に制した。「逆に明日からはノープランなので『頑張れ』だけです」と金子コーチは苦笑しながらも「選手たちが自分の足で歩きだしています」と、八雲学園(東京都)と当たる準決勝にも自信を見せている。

桜花学園は球際の強さを生かし昭和学院に競り勝つ

岐阜女子と並ぶ『2強』のもう一角である桜花学園(愛知)は昭和学院(千葉)と対戦。山本麻衣のゲームメークと藤本愛瑚のアタックで桜花学園が先行するも、その後は昭和学院がローテーションをきっちり守る組織ディフェンスで食い下がり、どちらもイージーシュートのチャンスをほとんど作らせない、ディフェンスが目立つ展開に。

しかし後半立ち上がりに桜花学園が走る。ハーフタイムに井上眞一コーチから「ここで一気に10点離すか、縮められるか。そこで決まるぞ」と檄を飛ばされたというチームは、山本を中心に声を掛け合って気合いを入れた。前半は昭和学院の『当たって砕けろ』の気合いに押されていた感があったが、ここで払拭。最初の2分半で9-0のラン、昭和学院がタイムアウトを取るも勢いは変わらず、開始4分を無失点で切り抜けてリードを広げる。

伊森可琳のバスケット・カウント、オフェンスリバウンドを奪っての山本の3ポイントシュートと当たりが出て、第3クォーターを終えて54-36と突き放した。必ずしも思うようなプレーができたわけではない桜花学園だが、リバウンドやルーズボールなど球際の執着心で差を付けた。

終盤は大塩菜々子や大竹優香子の得点で昭和学院に追撃されるも、落ち着いて試合をコントロールして桜花学園が67-53で勝利。ゲームをコントロールしつつ17得点を挙げた山本は、「相手の勢いに押されてしまい、桜花学園のディフェンスから走るバスケットが全然できなかったので、明日はもっと良いゲームをします」と大会の中でステップアップすることを誓った。

大阪桐蔭はインターハイに続きベスト4進出

その桜花学園と明日の準決勝で対戦するのが大阪桐蔭(大阪)だ。185cmの竹原レイラのインサイドを一番の武器とし、キャプテン永田舞を中心としたガード陣の強固なディフェンスから速攻を展開する『勝ちパターン』に、いかにして持ち込むかがカギとなる。

東京成徳大学(東京)との準々決勝、前半は41-40でわずかにリードと接戦になったが、第3クォーターに爆発。インサイドで果敢にアタックする竹原が13点を荒稼ぎして、この10分間で27-10と東京成徳大学を圧倒した。180cm台の選手がいない『小さな』桜花学園に対し、竹原の高さは大きな武器になる。その竹原のインサイドプレーも、ただローポストにボールを入れるのではなく、パス交換の中からポジション取りするため、ポストアップを止めるのは難しい。さらに竹原はパワーだけでなく柔らかいシュートタッチを備え、ダブルチームされた時にはパスをさばく技術もある。

上背はないが鈴木妃乃のスピードを生かしたドライブ、そこからフィニッシュを決めきる力は女子では突出している。また竹原に目が行きがちだが、永井雅彦アシスタントコーチの娘である永井唯菜はオフェンスリバウンドやディフェンスに強く、桜花学園と渡り合う上でのキーマンになりそうだ。

永井雅彦アシスタントコーチは明日の桜花学園との試合に向けて、「失点をどれだけ抑えられるか」と語る。「全員が素晴らしい中でも藤本と山本はとてつもないので、どれだけ抑えられるか。ウチはディフェンスを頑張って速い展開に持ち込みたい。ディフェンスは守りではなく攻撃です」と意気込んだ。

3試合で149得点、奥山理々嘉を擁する八雲学園

ベスト4のもう1チームは八雲学園(東京)。3年生プレーヤーが佐藤陽香だけと下級生中心のチームではあるが、チームオフェンスやチームディフェンスの完成度は高く、準々決勝では県立広島皆実(広島)を100点ゲームで下している。

チームの大黒柱は180cmの奥山理々嘉。インサイドの得点だけでなく、ハイポストで起点にもなる奥山を中心にパス交換からズレを作ってシュートセレクションの良いオフェンスを展開する。2回戦では県立郡山商業(福島)相手に45得点22リバウンド、3回戦では県立徳山商工に62得点20リバウンド、そして今日の準々決勝では42得点12リバウンドと、圧倒的なスタッツを残している。県立徳山商工戦では、女子の1試合最多得点記録を更新している。

奥山は執拗にフェイスガードされ、フィジカルに守られたが、落ち着きを失うことなく巧みにファウルを誘って25本のフリースローを得て(20本成功)、相手の4選手をファウルアウトに追いやるなど、身体だけでなくメンタルも強い。

明日は安城学園との対戦。大きいチームに平面で勝つバスケットを標榜する安城学園が奥山を抑えるか、奥山を中心とする八雲学園のダイナミックなバスケットが上回るか。こちらも楽しみな準決勝となる。

インターハイ王者の岐阜女子が敗れたように、何が起きるか分からないのが一発勝負のウインターカップ。明日の準決勝からは桜花学園を中心に大会が進むことになりそうだ。山本麻衣はこう語る。「岐阜女子を倒しに来たんですけど、そういうのは関係なく自分たちが目の前の一試合一試合を戦うだけなので、みんなに集中するよう声をかけました。全員が思い切って、力を全部出せば絶対に優勝できると思っています」

果たしてその通りになるか、あるいはまた別のアップセットが見られるのか。泣いても笑ってもあと2つ。女子は28日(木)に優勝チームが決まる。