知らなきゃ損する簡単エクササイズでパフォーマンスアップ!

バスケットボール専門のトレーナー監修による『知らエク』。シーズン1の最終回は体幹トレーニングを紹介します。腕立て伏せやスクワットも、体幹をしっかり固定させて実施するのが基本。体幹はお腹だけでなく胸や背中、腹筋、場合によってはお尻の筋肉まで含めるのですが、身体の幹が不安定だとそこから伸びる腕や足のパフォーマンスが十分に発揮できません。

体幹は呼吸にも関係があります。腰椎と背骨にかけての腸腰筋が姿勢を安定させる筋肉なんですが、呼吸のための横隔膜とも関連しています。呼吸筋をしっかり使うことで腸腰筋がしっかり作動して、姿勢を安定させて、四肢にパワーが伝わることになります。

~エルボーニー

人間の背骨が持つ自然なカーブを維持しながら、おへそをヘコませるようにお腹を締めます。そこから下腹部をイメージしてグッと力を入れるとプクッとお腹がふくらみます。これを『腹圧』と呼びます。エルボーニーではこの腹圧をキープします。肘とひざで身体を支えるので腕や足への負担が少なく、筋肉量の少ない人でもできる体幹トレーニングの基本となります。

腕立て伏せの体勢で足を伸ばすトレーニングをプランクと呼ぶのですが、プランクは足の負荷が大きすぎて体幹に意識がいかない場合があります。このエルボーニーがちゃんとできないと、プランクをやっても体幹が保持できません。腕立て伏せも腹圧をキープしていないと正しい効果は得られないのです。まずは基本のエルボーニーを正しいやり方でできるようになりましょう。

腹圧をキープできるようになったらエルボーニーのバリエーションに進みます。ボールを持つ前に、エルボーニーの体勢から腕だけ伸ばしてみましょう。右手を伸ばし、左手を伸ばすことで、体勢がグラつかないか、腹圧をキープできているか確認。それができたらバスケットボールの重みの負荷を使います。片腕で身体を支えながら、もう片方の手でボールを持ちます。ボールを持つ側が下がってしまうとか、背中が丸まってくるとか、そうならないよう姿勢をコントロールしつつ体幹を意識し続けます。ただこのポーズを取るだけなら簡単ですが、腹圧をキープして体幹を保持し続けるのは、慣れるまでは結構大変なはずです。

~サイドプランク

エルボーニーは身体の正面を保持するのに対し、サイドプランクは身体の横を安定させる、前後左右から体幹をコントロールする動きです。体幹を意識しながら、頭、顎、鳩尾、おへそのラインを真っ直ぐキープしましょう。体側部の筋肉が弱いと真っ直ぐキープできずに骨盤が降りてくるとか、身体がグニャっと曲がってしまいます。体勢をキープできない場合はひざを地面に着けた状態でいいので、まずは正しい姿勢と腹圧を意識してください。

基本のサイドプランクができるようになったら、今度は別の負荷をかけていきます。バスケットボールは他の競技のボールより重いので、サイドプランクの姿勢をしっかりキープしながらボールを持つのは結構難しいです。体幹だけでなく、肩やひじ、手首の安定させる機能を鍛える効果もあります。また上側の足を前後に動かしたり、足を開いたり閉じたりすることで負荷を上げ、効果を高めることができます。また、チームメートにいろんな方向から押してもらう、はたいてもらう中で姿勢を安定させることも効果があるので、試してみてください。

~ヒップローテーション

体幹を安定させた状態で四肢を動かしていきます。ローテーションをかけた時に体幹がグラついたり力が抜けてはダメなので、動かしながら軸をブレさせないように腹圧をキープします。

バスケットボールの試合でも、一つの動きから次の動きに切り替えるような時は、体幹がしっかり安定していると最初の一歩が速く出る、切り返しができるようになります。すべての動きに共通しますが、腹圧を意識するのが大切です。競技のプレー中にもそれを意識する。それがうまくできていないと感じたらトレーニングに戻って調整します。身に着ける段階では意識することが大事ですが、いずれ習慣化されて『無意識の意識』と呼ばれる状態となり、必要な時には自然とできるようになります。

監修トレーナー:江上猛
福岡県のトレーニングジムK2ATT(カット)を拠点に、プロからアマチュア、幼児から高齢者まで幅広く指導。全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナーの資格を持ち、競技力向上、リハビリテーションエクササイズ指導、健康作り、ボディーメイキングに対応しており、バスケ選手だけでなくプロ野球選手やパラリンピック車いす日本代表選手も指導している。
制作=バスケット・カウント ディレクション=一般社団法人TSO 衣装協力=AKTR

知らなきゃ損するエクササイズ[知らエク]INDEX
[vol.1]バスケ選手特有の問題、首と肩のコリをほぐす
[vol.2]肩甲骨を動かすことで肩の動きをなめらかに
[vol.3]下半身のポテンシャルを引き出してジャンプ力UP
[vol.4]身体が温かいうちにクールダウンで筋肉の緊張を取り去る
[vol.5]すべてのパフォーマンスの基礎となる『正しい姿勢』を作る
[vol.6]盤矯正で腰回り、背骨周りの筋肉を緩め腰トラブルを予防
[vol.7]どのポジションでも必要なジャンプ力を得るエクササイズ
[vol.8]腹圧を意識した体幹トレーニングで『無意識の意識』の獲得へ