アルバルク東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチはリーグ再開に「新しいシーズンの始まりに近い」と意気込む

アルバルク東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチはリーグ再開に「新しいシーズンの始まりに近い」と意気込む

2020/03/13

ルカ・パヴィチェビッチ

リーグ連覇中のアルバルク東京だが、今シーズンは過去2シーズンと比べて戦力流出、相次ぐ故障者などで苦しい戦いを強いられた。ただ、それでも中断前の成績は、川崎ブレイブサンダース、宇都宮ブレックスと並びリーグ1位タイと、さすが王者と称賛するしかないたくましさを見せている。再開を前に指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチに、今、リーグが置かれている未曾有の状況とここまで戦いぶりについて聞いた。

「チャンピオンになるためハードにトレーニングをしてきた」

──新型コロナウィルスによって今、バスケットボール界が置かれている今の環境についてどんな思いですか。

日本だけでなく世界中が新型コロナウィルスで難しい状況だ。特に日本は東京オリンピックが控えていて、大きなプレッシャーを受けている。バスケットボールの人気は高まっていて欧米のような大きなアリーナはないが、3000人から5000人の観客で会場が満員となっている。そこにお客さんを入れて試合をすることは難しい。

この困難な状況ではすべてを中止とすることが最も簡単。ただ、それでは多くのクラブでビジネスの継続が厳しくなり、バスケ界の発展に大きな影響を及ぼしてしまう。私たちは可能な限り安全な環境を作り出し、プロフェッショナルとして、自分たちが設定したゴールを達成することに集中している。

──中断期間中、先行きの見えない状況でのチームマネジメントの手応えを教えてください。

今の状況で、ゲームシェイプを保つのは難しい。その中でコンディションを維持しながら、いくつかバスケットボールとフィジカルの部分を立て直している。私がアルバルクに来てから、ただ試合に勝つためだけではなく、その先にあるチャンピオンになるためハードにトレーニングをしてきた。この日々の練習の積み重ねによって、チームのカルチャーは作られている。ヘッドコーチに就任して今年で3年目、選手たちはどんな時でも練習ではしっかり集中して、全力でトレーニングを行っている。

ルカ・パヴィチェビッチ

「8チームでポストシーズンを行えるのは幸せなこと」

──現時点では30勝9敗、勝率トップタイの成績を残していることへの評価を教えてください。

まず、(馬場)雄大が計画していたよりも1年早くチームを去った。もちろん、チームの誰もが彼の夢の実現を応援している。オフシーズンの最初から彼が去ることを分かっていたとしても彼の穴埋めをするのが難しい中、移籍が決まったのは大半の日本人選手の契約が決まった夏の終わりだった。

それでも私たちは層が厚く、安藤(誓哉)、(小島)元基、(田中)大貴、ザック(バランスキー)、(菊地)祥平、(竹内)譲次に新加入の須田(侑太郎)がいてパワフルな陣容だった。しかし、ここで元基の離脱という大きなトラブルが起きた。この夏、彼には「今シーズンはチームで3年目となる。チャンピオンチームを引っ張る中心選手として、ステップアップする時だ。安藤、篠山(竜青)、(富樫)勇樹に対抗できる選手になれる」と伝えた。実際、彼はその期待に応えるプレーを見せていた。アーリーカップ関東、アジアチャンピオンズカップにおいて、彼はベストプレーヤーだったと思う。それはアルバルクの中だけでなく、大会に出場した全選手の中でだ。しかし、開幕直後にシーズンを棒に振ってもおかしくないような大ケガをしてしまった。

開幕前には雄大に加え、齋藤(拓実)もメインのポイントカードでの出場を求めてレンタル移籍していった。さらに元基の離脱によって、重要なボールハンドラーが3人もいなくなり、ザックも故障で離脱した。その中での30勝9敗は素晴らしい成績で、予想を上回るものだ。

この好成績を残せた理由はいくつかある。まずは、先ほども触れたカルチャーだ。高いインテンシティでプレーし、すべての局面で相手に勝つことを目指す。そのメンタルで選手たちはどんな時でも戦ってくれた。また、大きな助けになったのは11月にFIBA主催となる日本代表の試合がなかったこと。過去2シーズン、この時期に試合があったことで、代表選手が合宿でチームを離れることが多かった。それがなかったので、最初の1カ月は負けることもあったが、常にフルメンバーで過ごし様々な議論を重ねていくことができた。

しかし、パフォーマンスの質については別の話となる。これまで触れてきたことが要因としてあり、チームが望むトップレベルには達していない。目標とするゴールに到達するためには十分ではない。

──今回、仕方がないことですがポストシーズンのフォーマットが変更されました。どのように感じていますか。

クォーターファイナルは、ホームチームが有利となる。ただ、1試合限定となることで、予想外の結果が起こりやすくなる。セミファイナル以降は中立地で行われ、どのチームにもアドバンテージはない。これは完全にカップ戦と同じだ。

ただ、ファイナルの日にちをほとんど延期できないことは分かっていた。それを考えると、8チームでポストシーズンを行えるのは幸せなことだ。リーグが今の状況で可能な限り最も公平なシステムにしたと思う。それには感謝しているし、これからもリーグがみんなにより均等な機会を与えようとする決断をサポートしていきたい。

ルカ・パヴィチェビッチ

「ファンの皆さんの存在は大きな部分を占めている」

──いよいよ再開となるリーグ戦への意気込みをあらためて聞かせてください。これまでの継続なのか、それとも仕切り直して新たな気持ちでのスタートとなりますか。

ここまで1カ月近くにわたってリーグ戦がなく、まるで夏のオフシーズンを過ごしているような感じでもあった。新しいシーズンの始まりに近いものはある。今はどのチームもフレッシュであり、ここまでリーグ戦で苦戦していたチームも心機一転して、勝利へのハングリー精神を取り戻すことができる時間があった。

レギュラーシーズン残り21試合はまた新たなリーグ戦で、川崎と宇都宮には0勝0敗、千葉ジェッツや残りのチームには少し先行した状態で始まるイメージだ。これから千葉と4試合、宇都宮と3試合、川崎とサンロッカーズ渋谷が2試合と上位との対戦が多い。おそらくリーグで最もタフなスケジュールの一つだろう。そして、これからの試合はドッグファイトになる。

いなくなった選手たちのことを考えると、私たちが優勝するのは過去2シーズン以上に難しい。しっかりトレーニングを続け、フィジカル、メンタルともに健康な状態を保つことで、優勝のチャンスが生まれてくる。それができなければ、望む結果は得られない。

──最後にファンへのメッセージをお願いします。

アルバルクのカルチャーにおいて、ファンの皆さんの存在は大きな部分を占めている。私たちをプッシュしてくれているのは間違いなくファンの皆さんで、彼らのためにもハードに練習して試合で戦っている。彼らなしでは、私たちは存在できない。

今はファンの皆さんと直接、触れ合うことができないのはとても残念だ。全員に挨拶し、会えなくて寂しいと伝えたい。皆さんがパソコンやテレビ、携帯で試合を見てくれることも私たちにとって大きな意味を持つ。皆さんとは深く繋がっていると思っている。今の状況でもSNSでメッセージ、動画、写真を出すことでコンタクトを続けていく。そうしてアルバルクカルチャーを継続していきたい。

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