NBAオールスター2020

継続を希望するアデトクンボ「楽しむことが一番だからね」

2020年のNBAオールスターゲームでは『イラムエンディング』という新しいフォーマットが採用され、結果的に大成功を収めた。

イラムエンディングはオールスターをただのエキシビションマッチから本気の戦いに変えることに成功した。イラムエンディングとは第4クォーターで時間制限なしで目標スコアを目指して戦うフォーマットで、目標スコアはリードしているチームの第3クォーターまでの得点を元に算出する。今回のオールスターでは、コービー・ブライアント追悼の意味を込めて24点を足したスコアが目標スコアだった。第3クォーターを終えてチーム・ヤニスが133-124でチーム・レブロンをリードしていたため、勝利スコアは157点だった。

従来のオールスターゲームはお祭り的な要素が多くインテンシティが欠けていた。しかし、イラムエンディングでは目標スコアに到達しないとゲームが終わらないため、とにかく点を取る、そしてそれを防ぐという状況が自然と作られる。ゲームクロックもなく、時間稼ぎもなくなる。

第4クォーターでコートに立った10人は攻守共にアグレッシブなプレーを見せた。レブロンとのマッチアップを志願したヤニスは、レブロンのステップバックシュートやレイアップをブロック。レブロンもヤニスからボールをスティールするなど激しいマッチアップとなった。

ゲームのインテンシティはすぐに全選手に浸透し、ファウルの判定を巡ってレフェリーに詰め寄ったり、レビューチャレンジで判定が覆った場面もあった。ベンチにいる控えの選手もフロアに倒れたチームメートを起こしに行くなど、一体感を持って戦っていた。

チームヤニスのコーチを務めたニック・ナースは、得点を取るのに苦労したが、プレーオフの試合のような面白さがあったと語った。「ゲームの終盤は素晴らしかった。会場にいた全員が全ポゼッションを立ち上がって観ていた」

イラムエンディングは実際に戦った選手からの評判も上々だった。レブロン・ジェームズは「みんな半信半疑だったけれど、第4クォーターを戦って試合が終わったときに『すごく楽しかったな』みたいな感じだったよ」とコメントした。

ウィニングスコアの157点目はフリースローによる得点だったが、最後はフィールドゴールで終わったほうがよりエキサイティングだという意見もあった。しかし、イラムエンディングは、ファンが望んでいたスーパースター同士の激しい戦いを引き出すことに成功した。

熱いディフェンスで会場を盛り上げたアデトクンボも「これからも同じフォーマットで行われることを期待するよ。観ている人も、プレーしている選手も楽しんでいた。楽しむことが一番だからね」と、話した。