取材=小永吉陽子 写真=野口岳彦、FIBA.com

2戦連続チームハイとなる17得点でチームを牽引

日本代表はワールドカップ1次予選第2戦となるオーストラリア戦に挑んだ。最終クォーター残り7分半の時点で10点差と、世界ランク9位のオーストラリアとも戦えることを証明したが、その後は一気に崩れてしまい、最終スコア58-82で敗れた。

この一戦で存在感を放ったのは、フィリピン戦に続きチームハイとなる17得点を挙げた比江島慎だった。序盤から積極的にシュートを狙った比江島は、2本の3ポイントシュートを含む10得点で22-23と互角で終えた第1クォーターを牽引した。

「自分は点を取ることを課題にしてたので、そこはできたと思う」と自らのパフォーマンスに及第点を与えた。だが今や不動のエースとして君臨する比江島は、得点以外の部分での貢献も自分に課しており、「点を取るだけではダメで、ディフェンスをしっかりやることもコーチから言われているので、そこはしっかりやっていきたい」と語る。

リバウンドの弱さを露呈しそこから崩れた日本だったが、2倍以上もリバウンドを奪われたにしては健闘したと見ることもできる。スコアでは24点差の大敗だが、比江島もそこまでの差は感じてないと言う。「見てる人はどう思うか分からないですけど、僕らからしたら点差ほどの差はないと思います。手応えはつかめてるし、次につながる試合ができたと思います」

「集中力が切れてしまう場面は多々あった」

第1クォーターは1点ビハインドで終え、第3クォーターに至っては2点をリードしていた。第4クォーターも残り7分の時点では10点差で、まだ勝機は見いだせたはずだ。確かに点差ほどの力の差があったとは感じなかった。それでも第4クォーターで8点しか奪えなかったことでこれだけの点差がついた。

「フィジカルでぶつかってくる相手なので、そこで消耗させられました。集中力が切れてしまう場面は多々あったので、そこをしっかりできればまだまだ戦えたと思う」と比江島は振り返る。

確かに体格差を運動量でカバーしていた日本は消耗が激しかった。さらにはセカンドチャンスポイントを何度も奪われたことは、選手たちの心を折るのに十分なダメージを与えていた。その結果、心身ともに『切れて』しまった。

日本にとってリバウンド問題は避けて通れない。どんなに工夫をこらしてもオフェンスリバウンドを取られる瞬間はある、それでも屈することなく、次のプレーで最善を尽くす強い精神力が求められる。

そしてオーストラリアに敗れ2敗目を喫した日本にとって、ホームで戦う次節のチャイニーズ・タイペイ戦は勝利が至上命令となる。比江島は『エースの自覚』で次戦に向けてこう語る。「この方式にも慣れましたし、前より良い試合はできます。次の2試合は本当に負けられない戦いになります」

来年2月22日にチャイニーズ・タイペイと戦い、同25日にはアウェーでのフィリピン戦が待っている。4チーム中3位に食い込むためにはこの2戦で最低でも1勝が必要であり、その先のことも考えれば2勝したい。そのためには『エースの自覚』が芽生えつつある比江島の真の覚醒が求められる。