
クーパー・フラッグとベテラン陣が奮起、連敗を止める
マーベリックスはオーバータイムの末にトレイルブレイザーズとの接戦を138-133で制した。ニコ・ハリソンGMを解任したがチーム状況は上向かず、この試合の前には左ふくらはぎの肉離れで長期離脱中のアンソニー・デイビスの復帰が先送りされることが発表されており、チームを取り巻く雰囲気は決して良いものではなかった。
それでもこの試合、選手たちは延長を含めた53分間を攻守に激しさを出して戦った。チームとしての結束力も見られた。第2クォーター序盤に12点のビハインドを背負ったが、クレイ・トンプソンがこのクォーターだけで3本の3ポイントシュートを決めてチームに勢いをもたらし、前半は2得点に終わったクーパー・フラッグが後半、延長と試合が進むごとに集中を増してチームを引っ張った。
延長残り1分半、リバウンドを押さえたフラッグがすぐさま前へと力強いパスを送り、PJ・ワシントンのダンクを演出。続くディフェンスで相手のシュートをブロックしたダニエル・ギャフォードがそのまま走り、マックス・クリスティのパスを受けてダンクを決めた。この連続ダンクでスタンドは大盛り上がりとなった。
ルカ・ドンチッチを目当てに毎試合満員御礼が続いていたアメリカン・エアライン・センターは完売記録が途切れ、少し空席が見られるようになったが、「ニコを解雇しろ」のチャントはもう聞こえない。選手が良いプレーを見せればファンが立ち上がって歓声を上げる、その一体感を取り戻しつつある。
勝利を大きく引き寄せるダンクで会場を一つにしたワシントンは「勝つのはいつでも気持ちが良いものだ。観客の気持ちをとらえ、そのエネルギーが後押しになれば、僕らはすごく助けられる。ホームで声援を聞くのは素晴らしい気分だ」と、会場の雰囲気が好転したことを歓迎した。
フラッグは、ワシントンのダンクを演出したパスをこう振り返る。「ディフェンスからオフェンスへと切り替わる瞬間が大好きなんだ。ボールを取った瞬間に彼が走る姿が見えて、すぐにパスを出したよ」
フラッグの得点は、前半は2と伸びなかったが、後半に15得点を奪い、延長で4得点を加えて21得点を記録。スタメン5人にベンチのクレイとディアンジェロ・ラッセルを加えた7選手が2桁得点を記録し、攻撃が停滞しない要因となった。
試合が進むにつれて調子を上げたことについて、フラッグはこう語る。「ただ粘り強くプレーし続けるだけだよ。いつも完璧である必要はないし、格好良いプレーばかりはできない。自分らしいシュートを打てるスポットを見付ける努力をするだけだ」
この試合ではペイントエリアに侵入し、ゴール下で勝負するプレーが多かった。「相手のディフェンスを見て攻めた結果だ」とフラッグは言う。「試合終盤のブレイザーズはドノバン・クリンガンをベンチに置いていた。ブロックショットが弱くなるならサイズを生かして、アグレッシブに攻めるまでさ」
4試合連続のホームゲームの最後に勝利を記録。最初のバックス戦は2点差で敗れ、続くサンズ戦は残り2分での3点差から敗れた。クリッパーズ戦は延長戦で敗れた。接戦を落とし続けていただけに、この1勝はチームの自信回復に繋がるだろう。
右足首の捻挫で足を引きずりながら引き上げてきたギャフォードは「接戦を落としてきたから、最後まで冷静さを保ち、リードを守り切れて良かった。ミスもあったが、そこから学んで次のポゼッションに生かすことができた」と語る。
いまだ4勝10敗と大きく負け越しているが、マブスはようやく混乱から抜け出す兆しを見せ始めている。