文・写真=丸山素行
1部昇格の神大が京都産業大を破り初戦突破
大学バスケの集大成となるインカレ(第69回全日本大学バスケットボール選手権大会)が開幕した。北は北海道から南は九州まで、9つに分けられた地区の予選を勝ち抜いた32チームが大学日本一の座を懸けて戦う。
関東リーグから最多となる12校が出場していることが示すように、大学バスケ界では一般的に関東リーグが最高峰と位置付けされる。その関東大学リーグ2部で躍進した神奈川大学は、関西地区を制した京都産業大学と対戦。指揮を執る幸嶋謙二監督が「我々の武器はディフェンスとリバウンド」と言うように、粘り強いディフェンスと誰もが飛び込んでいくリバウンド力でリードを保つ。第4クォーター終盤に2点差に詰め寄られたが、河野賢人が勝負どころで3ポイントシュートを沈め、64-55で勝利を収めた。
神大は2年前に3部に降格したが、そこから連続で昇格を決め、来年には創部以来初めて1部リーグを戦うことになる。「2年前に落ちたのがすべてだと思います。そこで僕も変われたし、綺麗事じゃなく、それがあったので今があります」と幸嶋監督は語った。
緊張が解けた後半に実力を示した日大
関東リーグ10位の日本大学は九州リーグ2位の日本経済大学と対戦した。前半を終えて38-36と拮抗した展開となるが、相手のターンオーバーを確実に得点につなげ、早打ちからのリバウンドを速攻に持ち込んだ日大が79-58で勝利した。
1年生ながら主力選手として活躍する杉本天昇は「1回戦ということでチームも固くて、自分も特に緊張しがちなので」と前半の苦戦を振り返ったが「後半からディフェンスから走るという自分たちのバスケができて、後半に突き放せました」とホッとした表情を浮かべた。
13得点3スティールを記録したが「初戦はとても大事だと思ったので、自分でも行きたかったですけど、様子見じゃないですけどいろんな人にパスを散らしたりしました」との結果、控え目なスタッツになったのだとか。2回戦以降、緊張がほぐれるにつれて本領発揮となることに期待したい。
結果的に横綱バスケで完勝の筑波大
大会3連覇中の筑波大だが、関東リーグでは5位と不本意な結果に終わっている。1回戦では関西リーグ2位の大阪体育大学と対戦。第1クォーターで33-14と大量リードを奪ったが、その後は吹っ切れた大体大のオールコートプレスにてこずり、一時8点差まで詰め寄られる。それでもベンチから出てくる選手がしっかりと自分の役割を果たすなど、選手層の厚さを見せつけた筑波大が109-82で大体大を退けた。
キャプテンの青木保憲は「試合を通して相手の勢いに自分たちが受けてしまい、点差を離しきれなかったというのが反省点です。でもトーナメント初戦を突破できてホッとしました」と安堵した。4連覇への思いを尋ねると「それを達成したのは先輩たちなので、チャレンジャーとして一戦必勝でそれが優勝につながればいいと思います」とあくまで挑戦者の気構えだという。
筑波大を指揮する吉田健司は、第2クォーター以降失速したチームを「これが学生ですよ」と表現した。「特に1試合目なのでド緊張のまま入っていましたから。今日はリーグ戦の課題であるボール運びがうまくいかなかった。そこで自分たちのリズムにならなかった」と苦戦を振り返った。
大体大の比嘉靖監督は「みんな初めての全国大会で顔もひきつって緊張していたし、相手は4連覇を狙う筑波だったし、すべての負の連鎖があの第1クォーターの出だしです」と最初の10分間のブラックアウトを説明。「後の30分で勝とうということで吹っ切れて、笑顔も出てきて良かったので、最初からできたらもっと良かったです」と悔いが残る試合を振り返った。
筑波大の吉田監督は「だいたい番狂わせは初戦で起きる」と話したが、1回戦では関東地区の12校すべてが初戦を突破した。『東高西低』の戦力図を壊すチームは出てくるのか、そして筑波大の4連覇の行方は。ベスト8を懸けた戦いが始まる。