良質なバスケットボール情報を提供することを信条とする『バスケット・カウント』編集部。取材に足を運ぶ回数に反比例するように、実際にバスケをやる機会は減少の一途をたどっている。いや、バスケどころか運動すること自体が激減した。
スポーツ庁は「スポーツ基本計画に基づいて、成人の週1回以上のスポーツ実施率が65%程度、週3回以上のスポーツ実施率が30%程度となることを目標としています」と掲げているが、今のところ週1回以上スポーツをしている成人は42.5%とのこと。
バスケメディアの一員である以前に、バスケットマンである。取材したり原稿を書いたりSNSで発信するようになるずっと前から、コートを走ってレイアップが打てていたはず。そんな自分がこの42.5%にも入っていないのは情けない。そんなわけで、スポーツ庁の目標である65%を達成する先兵となるべく決心した。やるとなったら形から入るタイプなので、さっそく埼玉の北浦和にあるバスケ専門店『SLAM』さんに足を運ぶ。高校時代以来のバスケショップ訪問にやや挙動不審になった僕を、店長が温かく迎えてくれた。
老若男女に分かりやすいバッシュ選びのコツ!
──バッシュの種類、すごいですね! ひょんなことから運動しようと思い、もともとバスケをやっていたので何年かぶりに再開したいのですが、どのバッシュが人気ありますか?
「とりあえず落ち着きましょうか。バッシュの購入を考えているんですね」
──はい。とはいえ取材なので、老若男女に分かりやすいバッシュ選びのコツをお願いします。
「いきなりハードル上げてきますね(笑)。バッシュだとデザインから入ることが多いです。例えば好きな選手がいれば、その選手が履いているモデルをまずは参考にすると良いです。今だとNBAではウォリアーズの人気が高いので、アンダーアーマーのステフィン・カリーのバッシュが中高生には特に人気なんですが。
──僕が中高生に見えます? 大好きなのはペニーですね。
「なるべく最近の選手でいいですか?」
──ぬーん、そうなると一人を挙げるのが難しいかも。とにかくいっぱいありすぎて迷っちゃいますね。店長の個人的なオススメは何でしょう?
「『K1X』ですね。これはドイツのブランドで、日本での取り扱いは少ないんです。Bリーグの選手では三河の狩俣昌也選手が履いてます」
──『K1X』、初めて見ました。オシャレでバッシュじゃないみたいですね。
「もちろんバッシュとしてもいけますし、デザイン的に街履きというか、スニーカーとしても履けますよ。K1X自体がスニーカーも出しているので」
──だからこんなにカッコいいんですね。まずは好きな選手を見つけて、その選手と同じブランドをチョイス。そして、デザインですね。
「そうですね」
──初歩的な話ですが、ハイカットとローカットがありますよね。僕はどっち向きですか?
「ローカットのほうが足首周りがフリーなので、足首の可動域が広がります。ハイカットのほうが足首がギュッとより固まります。例えば速く走りたいとか切り返しをしたい人はハイカットだと邪魔になっちゃうので、そういうプレーヤーはローカットを好んで履いたりしますね。足首周りの保護が欲しければハイカットという感じですね。ローカットのほうが全体的に少し軽くはなります。ミドルはその中間ですね」
──なるほど、僕はガードなのでローカットにします。ちなみに昔、ハイカットを履いたら足が遅くなった気がしましたが、勘違いじゃなかったんですね。
「それはちょっと語弊があります。スニーカーやランニングシューズのほうが走りやすいというのと一緒です。ローカットの走りで言えばナイキのコービーシリーズなんですけど、それこそコービーがサッカーのスパイクを見て、『バスケにも取り入れられないか』とナイキに申し入れて、コービーシリーズをローカットにしたと言われています」
──ちなみに昔はエアが入っているモノが流行っていたと思いますが、あまり見ないですよね?
「ありますよ、内蔵してるんです」
──エアは入っていたほうがいいですか? そもそも何のためにあるんでしたっけ?
「衝撃吸収と反発が違いますね。かかとから着地した際に、ひざや腰への衝撃を軽減するイメージです。前にだけしか入ってないもの、前と後ろに入ってるもの、後ろだけに入ってるものとあります。全体に入ってるものもあれば、後ろに分割して入ってるものもありますね。ローカットだと前だけに入ってたりすることが多いです。後ろのエアーを抜いて軽くすることで、さらに動きやすくなっています。ローカットを主に履くガード系のプレーヤーは、センタープレーヤーと比べるとかかとを着けてプレーする機会が少ないので」
──子供の頃は、エア・ジョーダンを履けばジャンプ力が上がるイメージでした!
「それはないです(笑)」
──ポジションによってバッシュ選びも変わってくるってことですか。
「でも、昔ほどポジションでバッシュを分けるというのはなくなりました。センターでもこういうの履いてる人はいます。NBA選手はテーピングをした上でローカットを履きますから。結局、バスケ自体がポジションレスの方向にどんどん進んでいますから。4番や5番の選手が外のシュートを打ったり、ドライブできて当たり前だったり。昔はガード用、パワーフォワード用、センター用みたいな感じのラインナップでしたが、今はそこまで明確に分かれていませんね」
──逆に、ガードの選手にハイカットを勧めるようなケースってどんなのですか?
「ドライブして足首ひねるのがクセになっちゃった子なんかはハイカットじゃなきゃ怖いということがあります。そういう場合はガードでもハイカットを履いてる子もいますね」
──うーん、勉強になります。自分のバッシュ選びは全く進んでないですけどね……。
「ゆっくり見て、じっくり選んでください(笑)」