文・写真=鈴木栄一

重要な局面で勝負強さを発揮した三遠が接戦を制す

10月8日、三遠ネオフェニックスが敵地でサンロッカーズ渋谷と対戦。ロースコアの重いゲームとなったが、ここ一番でカルティエ・マーティン、鈴木達也といった中心選手がシュートを沈めた三遠が64-54で勝利。前日に続いての白星と、敵地で価値ある2連勝を達成した。

三遠はオン・ザ・コート「2」で挑んだ第1クォーターで、「1」のSR渋谷に対して17-10と優位に立つ。しかし、逆に「1」の三遠、「2」のSR渋谷となった第2クォーターに山内盛久がこのクォーターだけで9得点と奮闘。三遠が28-25とわずかにリードする展開で前半を終える。

後半に入っても一進一退の攻防が続くが、第4クォーター序盤、三遠にビッグプレーが連続で飛び出す。3点リードで出迎えた残り約7分半、マーティンがインサイドへのアタックでバスケット・カウント。フリースローは外すが、直後の守りで川嶋勇人がベンドラメ礼生の3ポイントシュートをブロックし、そのまま速攻で持ち込んで得点。さらに川嶋が続けてシュートを決め、約1分の間にリードを9点に広げ、試合の流れをつかむ。

その後はSR渋谷も粘り、残り約4分には再び3点差にまで縮めたが、三遠に傾いた流れを変えるまでには至らず。残り約3分、3点リードの場面で三遠は鈴木達也の3ポイントシュート、マーティンの速攻で再び突き放すとそのまま逃げ切った。

両チームの指揮官が語る「我慢できたか、できないか」

三遠の藤田弘輝ヘッドコーチは、何よりも我慢の勝利だったと言う。「我慢しなければいけない時間帯が大きく分けて3回ありました。そこをしっかりディフェンスで我慢して、乗り切ったのが大きな収穫でした。特に第4クォーターのディフェンスとリバウンドは満足いくもので、今後につながる試合でした」

また、我慢すべき3つの時間帯を次のように説明してくれた。「後半ファウルが多くなり、試合の展開が重くなった時がありました。第4クォーターの最初から中盤にかけて、いいオフェンスができていたけどオープンなシュートが入らない時間帯。そして第4クォーター途中、ちょっとアクシデントがあってカルティエを代えなければいけない時間帯がありましたが、そこをしっかりチームで我慢できました」

敗れたSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは、「ホーム開幕2連敗を重く受け止めています。しっかり自分を含め一人ひとり、鏡を見て何が必要か考える良いきっかけになればと思います」と厳しい表情で語った後、三遠とは対照的に我慢できなかったことを敗因に挙げた。

「ディフェンス、オフェンスともに共通しているのは我慢できない。ディフェンスでは1つのパス、2つのパス、3つのパスでやられてしまう。かりにやるべきことが分かっていても、そこまで脚が動かない。オフェンスでも結局、タフショットを打ってしまう。チームメートをしっかり信じて、まだ時間があるのに小さなアドバンテージを生かしてそこを広げて攻めていく我慢強さが足りない。戦術的なこともありますが、どの戦術を選んでも我慢強さが足りなかったです」

マーティンとモリソン、『助っ人』がしっかり仕事

この試合、三遠では開幕節を欠場し、今節がBリーグデビューとなり2試合連続でゲームハイの得点を挙げたマーティンのプレーが光ったが、同じくらい大きな働きを見せたのがスコット・モリソンだ。昨日の試合、マッチアップしたロバート・サクレは19得点だったが、シュート22本中8本成功とかなりの低い確率。そして今日はシュート9本中2本成功のみと、2試合続けて渋谷のエースを封じ込めた。

モリソンの活躍には、司令塔の鈴木も大絶賛している。「スコットのディフェンスが素晴らしく、今日もサクレをよく止めてくれました。彼が一人でしっかり対応してくれたので、サクレのところでアドバンテージを取られずに守ることができました。スコット、いいっすよ(笑)」

開幕連敗スタートを切った三遠だが、鈴木は巻き返しへの強い意欲を述べている。「まだ、(ロバート)ドジャーがいないので万全でないですが、しっかり自分たちのバスケをすれば戦えます。先週の連敗の悔しさを晴らせて良かったです。やっとスタートラインに立てたので。ここからまた連勝してステップアップしていけたらと思います」