文=丸山素行 写真=古後登志夫

先日、台湾で行われたユニバーシアード競技大会で、過去最高位タイ、50年ぶりとなる銀メダルを獲得した女子ユニバーシアード日本代表。早稲田大3年の田中真美子と2年の中田珠未は、この偉業達成に大きく貢献した大学生選手だ。代表から早稲田大に戻って秋のリーグ戦を戦う2人に話を聞いた。

田中は「家が近いから」という理由で早稲田に?

──まずはリーグ戦での勝利おめでとうございます。試合を振り返っていかがでしたか?

中田 日曜日に戦った時はゾーンを攻略して攻めることができませんでした。それに比べたら今日はハイポストで上がった瞬間につなげたり、そこからのドライブやファウルをもらったりできて、センター陣もうまくボールに絡めました。外のシュートも入ったので、勝ち方としてはすごく良かったです。

田中 それに付け加えて、日曜日に負けていろいろ反省して、試合に出ていない選手がビデオで研究して仮想選手となって対策してくれたんです。オフだけど体育館に行ってみんなで合わせたり、自主練習みたいに。私はその時にやってくれたことで「この時にはこう攻める」ってイメージが付いて、落ち着いて自分たちの攻めができたのが良かったのかなって思います。

──それは監督に指示されたからではなく、自分たちの意思でやったということですよね。

中田 もともと早稲田自体が「自分たちでやる」というイメージなんです。去年高校から上がって入った時は、今プロ1年目の人たちが4年生で、自主性が高くてビックリしました。チームの振り分けもコーチから言われるわけではなく、4年生中心にうまく振り分けています。ケガで練習に参加できない選手たちも自分から「何かやることないですか」と聞いてきます。

──その「自分たちでやる」自主性が早稲田を選んだ理由ですか?

中田 私の場合は両親が早稲田卒で、兄も通っていて、大学だったら早稲田がいいなと思っていました。当時は元日本代表の萩原美樹子さんがコーチをしていて、すごい方なので教わりたいという気持ちもありました。

田中 私は家が近くて(笑)。でもそれだけじゃなく、バスケも見に行ったことがあって、フリーランスですごくかっこいいなと思ったんです。理由は軽いですけど、本当に入って良かったと思っています。

高校時代のライバルだった2人が同じ大学で『バチバチ』

──仲の良さがすごく伝わってきますが、高校時代からのライバルだったんですよね。

中田 出たらいつもマッチアップしてましたけど、嫌でしたね(笑)。仲が良いのはアンダーカテゴリーで一緒で、ポジションも同じだったのが大きいです。

田中 私も高校の時は嫌だったので、仲間になって良かった(笑)。でも練習中はバチバチやっています。

──同年代のトップクラスの選手が練習相手ってすごい良い環境だと思います。

中田 そうですね。ここでマッチアップしていると他のチームとやる時に攻められるという自信になります。

──お互いの目から見るとどんな性格ですか?

中田 意外にメンタルが弱くて、すぐに泣きます。

田中 私が先輩なんですけど、いつもフォローしてもらってます(笑)。

中田 思ったようにプレーができないことが悔しくて、自分に腹を立てて涙を流すんです。練習中の5対5とかでも泣くんですよ!

田中 あの時は自分が初めて一番上になって、「チームをまとめなきゃ」とかいろいろ考えた時だったから。

中田 しかもバレないように泣くんですよ。涙が流れてるんですけど「汗です」みたいにカムフラージュして。

田中 いいじゃん別に(笑)。

──田中選手から見て、中田選手のすごいところは?

田中 身体能力が高くて助けられてます。ルーズボールもすごく追うし、私より身長が高いのにスピードがすごいんです。だから守れない。

中田 ありがとう!(笑)

田中 でも慣れてるから、ドライブのタイミングは読んでいて、まあまあ止める時もあったり……。

──褒めてから落とすんですね……。逆に中田選手から見た田中選手の印象は?

中田 真美子さんは外回りのシュートがすごい入って、ドライブより大事な時にちゃんとシュートを決める勝負強さがあります。調子が悪い時がなく安定して入る。自分はドライブが得意なので、そこからさばいて決めてもらうことで自分も生かされてます。

──勝負強いという言葉が出ましたが、田中選手のクラッチプレーの秘訣は?

田中 あんまり考えてないです(笑)。ゲームの流れとか読むの苦手で。目の前をただガムシャラにやってるだけって先輩に言われたことがあります。でも、「どうしよう、どうしよう」って焦ることがあまりないですね。

早稲田大学のユニバ代表コンビ田中真美子&中田珠未(後編)
「早稲田で大学日本一になって、もう一度ユニバへ!」