馬瓜ステファニー

「予選を勝てればオリンピックでも勝てるんじゃないか」

馬瓜ステファニーは、姉のエブリンとともにバスケットボール日本代表として活躍しており、メダル獲得を目指す東京オリンピックでも飛躍が期待される。しかし、去年の夏からステファニーは3人制バスケ『3×3』にも力を入れている。きっかけはアジア競技大会。3×3日本代表にケガ人が出たため、5人制の代表から急遽『レンタル移籍』したのがステファニーだった。初めての3人制、ルールやボールの違いに戸惑いながらも、ステファニーは高さとフィジカルを存分に発揮して、アジア競技大会での銀メダル獲得に貢献した。

そこからは5人制と3人制の『二刀流』に。3×3では2年連続で出場したU23ワールドカップで、昨年は準優勝、今年は優勝と結果を出している。「人より多くのチャンスをもらえているので、そのチャンスを生かすことに必死です」と2つの種目に取り組んでいたが、今回、3人制の女子日本代表だけが東京オリンピック出場を懸けた予選に回ることになり、結果として3人制の重みが増すことになりそうだ。

男子と女子の日本代表、11月1日時点でランキングが上位の1チームだけに開催国枠が適用される。結果、男子の出場が決まり、同時に女子は予選を戦うことになった。「男子と比べられることにはすごく複雑な部分がありました」と馬瓜は率直な思いを語るが、すでに気持ちは切り替えられている。

「もちろん、男子におめでとうございます、という気持ちは日本としてあります。悔しいは悔しいですけど、予選を勝てればオリンピックでも勝てるんじゃないかと思うし、勢いが付くという部分では予選で経験していくのも良いんじゃないかと思いました」

馬瓜ステファニー

「3×3が自分の可能性を引き出してくれた」

オールラウンドな能力を持つ馬瓜だが、5人制よりも『個』が際立つ3×3の国際大会となると、相手のビッグマンをどう抑えるかのディフェンス、身体を張ったプレーが特に求められる。その部分で結果を出してきた馬瓜は、強化合宿でもフィジカルのぶつかり合いから逃げずにバチバチと戦っていたが、「今日は100点満点の20点ぐらい」と自己評価は低い。

「普段から3×3をやっている選手からすれば、そういうフィジカルの部分は当たり前。世界大会ではそれが出てきます。そこでシュートを落としてしまうところは今までも課題だったし、直していかないと次はないと思っています」

ここからは予選突破に向けて今回招集された9人の団結が求められるが、3×3のチーム登録はわずか4選手で、サバイバルレースでもある。馬瓜は実績で頭一つ抜け出しているように思えるが、「期待をしていただいている部分もありますが、気負いすぎると空回りしちゃうタイプだと思うので、そこは意識せずに自分らしいプレーができるように」と自然体だ。

もっとも、自分のレベルアップについては明確な意思を持っている。3×3を経験した選手は誰もが「5人制にもプラスになる」と口を揃えるが、馬瓜もその一人。「3×3が自分の可能性を引き出してくれたと思います。3人制で1対1だったり、ディフェンスだったり、もちろん海外の選手とやる機会が増えたことも、自分に対してプラスなことが多くて、5人制が主ではあるんですけど、自分を見つけてくれた3×3に恩返ししたいという気持ちが強いです」

「オールラウンドは聞こえは良いけど、全部が中途半端になったらいけないので、全部しっかりレベルを上げないといけないと思います。やっぱり2ポイントシュートの確率を上げることと、あとはディフェンスの部分。大きい相手はもちろん、小さい選手のドライブも守れるように」

馬瓜ステファニー

オリンピックを見据えて「日本のために戦いたい」

オリンピックでメダルを狙うレベルで2つの競技を両立させるのは並大抵のことではないが、来年3月の予選を見据えつつも、馬瓜は自分が所属する5人制、トヨタ自動車アンテロープスでの活動もないがしろにしたくないと考えている。

「もちろんリーグ戦も大事で、優勝したいです。でもオリンピックも4年に一度。チームに戻ったらチームのことを一生懸命にやって、自分の3×3に向けた練習は5人制の試合の中でも自主練でもやれるはずなので、あまり『こっちはこっち』と考えず、生かせるものを考えながらいつも練習しています」

代表の合宿は今後も月に一度のペースで行われるそうだが、Wリーグのシーズンは3月まで続く。「メンバーが固定されているわけではないので、一人ひとりがその時いる選手に合わせていくしかない。そこは難しい部分ですけど、今までもそうだったし、それぞれのチームに離れた時に一人ひとりがどれだけ頑張れるかなので、そこは言い訳をせずに向かっていきたいです」

3×3での実績はあるが、プロとしての経験はまだ浅い。「代表当確とは全然思いませんが、日本のために戦いたい気持ちはあります。今回の合宿でレベルの高さを本当に感じたので、日本が一つになれば勝てないことはないと思います。そこでしっかりコミュニケーションを取って、次の大会に臨みたいです」