ルカ・パヴィチェヴィッチ×恋塚唯、疾走するアルバルク東京の強さを語る(後編)

2019/11/15
Bリーグ&国内
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アルバルク東京

アルバルク東京は直近の2シーズンでBリーグを連覇。ヘッドコーチを務めるルカ・パヴィチェヴィッチの妥協しないスタイルがチームに浸透し、土壇場での勝負強さは他の追随を許さず、特に一発勝負のチャンピオンシップでは盤石の強さを発揮してきた。その強さのベースとなっているのは、チームとフロントがガッチリと噛み合う関係性にある。両輪としてA東京を牽引するパヴィチェヴィッチとGMを務める恋塚唯の対談から、その強さの秘密を探る。

ルカ・パヴィチェヴィッチ×恋塚唯、疾走するアルバルク東京の強さを語る(前編)

「雄大がいなくても、これまで以上を目指す」

──今シーズン開幕直前に、馬場雄大選手がアメリカ挑戦を決断しました。編成が終わった後のタイミングで彼がチームを離れることは、想定の範囲内でしたか?

恋塚 正直に言えば、7月の段階では雄大を含めたメンバーでシーズンに臨むつもりでした。昨年、私がサマーリーグにスカウティングに行く際に雄大を連れて行きました。渡邊雄太選手の試合を見た時、彼は「来年は自分も出たい」と言いました。もともとルカとも話していましたが、雄大をNBAにチャレンジさせるため、アルバルクとしてどういう過程を積んでいくか。それはオリンピックまではここで戦い、彼のレベルをNBAに近いところまで持って行く考えでした。本人も今年はサマーリーグに挑戦して顔を売り、来年に備えるつもりでしたが、アメリカでの反応と海外挑戦で実際に得られるものへの思いで、気持ちが変化していきました。

ルカ 一人のコーチとしての考えを言えば、私が日本代表のヘッドコーチをしていた時に雄大を見て、国際レベルで通用すると感じましたが、同時にまだ足りない部分のスキルを磨く必要もありました。その時から雄大はアメリカを視野に入れていたし、アメリカの大学に行くことについても何度か話をしていました。ただ、当時の彼はNBAに挑戦する準備ができておらず、それで彼にはアルバルクで一緒にやろうと言い、この2年間でどんどん成長していきました。NBAに行く時は本契約であってほしいと彼には言っていたんです。今回はエキジビット10でしたが、彼はチャレンジを望んでいたため、チームとしてもサポートしようと決めました。

恋塚 タイミング的に彼の挑戦をサポートすると決めたのは7月中旬です。サマーリーグが終わり、主だった日本人選手の行き先はもう決まっている状況でした。シェーファー・アヴィ幸樹と齋藤拓実の滋賀へのレンタル移籍も決まっており、相当に苦しくなるという感覚はありました。

ルカ 私としても、あと1年一緒にやりたい気持ちはあったのですが、来年も今回と同じチャンスがあるかどうかは分かりません。NBAから雄大に声をかけてくれたからには、行くしかないということになりました。それでも、雄大のような特別な選手は日本にそう多くはいないので、前もって離脱が分かっていたとしても穴を埋めるのは難しいし、チームとしてカバーしていくしかありません。雄大がいなくても、チームとしてこれまで以上のパフォーマンスレベルを目指します。簡単ではありませんが、ベストを尽くすつもりです。

アルバルク東京

「成長意欲の高い選手がルカの下に来てくれる」

──選手獲得の面で、ルカコーチの下でやりたいからA東京に来たいと選手が考えることでのプラスは、日本人も外国籍も含めて大きいですか?

恋塚 それはありますね。ただ、ルカだからやりたい選手もいれば、ルカの練習をやりたくない選手もいるだろうから、そこは両方です(笑)。それでもルカがヨーロッパのスタイルを構築し、しっかり結果を出すことが、ミラン・マチュワンや昨シーズンのミルコ・ビエリツァの獲得に繋がっています。

ルカ 国際レベルで通用するチームを作るには、バスケットだけでなくメディカル、トレーナー、コンディションを含めた全体的なチーム作りが大事になります。第一に問われるのは、日本人選手でどれだけ戦えるのか。サイズ、個性、強いメンタルを持ち、フィジカル面で当たり負けない日本人選手を集めることになります。日本人選手のスタンダードが高くないと、外国人選手も同じように質の高いプレーを求めることはできません。

恋塚 そういう意味でも年を重ねるごとにルカのバスケは間違いじゃない、という信頼は増していますね。でも、それだけで選手が来るわけではなく、いろんな要素の一つです。その中でも安藤誓哉、小島元基、須田侑太郎といった成長意欲の高い選手が、上手くなるためにルカの下でプレーしたいと来てくれています。ただ、本当に激しいルカのバスケットに耐えられるのか、チームに馴染めるかなどの人間性や性格的なところを見極めるのはこちらの役割になります。

ルカ アルバルクはサイズ不足からユーロリーグのクラブと競り合うことはできないかもしれませんが、それでも私は同じようなスタイルを目指して指導しています。(アレックス)カーク、ジャワッド(ウィリアムズ)、マチュワンのようにヨーロッパのトップレベルで活躍した選手が来てくれることは、アルバルクだけでなく日本のバスケ全体にとって有益だと思っています。彼らは個人能力で点を取る、典型的な日本に来るタイプの選手ではありませんが、素晴らしい個性の持ち主で、戦術理解度も高い。私はそういうタイプの外国籍選手を求めます。

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「皆さんに対しては選手と同じように愛情を持っている」

──それでは最後に、A東京を応援するファンへのメッセージをお願いします。

恋塚 ルカを見ていて感じるのは、1試合1試合を大事にして、その積み重ねがチームのケミストリーになっていることです。私としては、そこを感じながらチームがまっすぐ推進できるようサポートしていきます。みんな同じ思いで向き合っていれば、最終的には思っている形に行き着くと思っています。アジアチャンピオンズカップでは優勝し、去年の準優勝からリベンジできました。天皇杯でも悔しい思いをしているので、今回はリベンジしたいです。リーグ戦でも自分たちにアドバンテージがあるとは思いません。その中でファンの皆さんも含めて一丸となり、アルバルクのキャッチフレーズでもある『WE』で戦っていきたいです。

ルカ 皆さんに対しては選手と同じように愛情を持っていることをこの場を借りて言わせてもらいたいです。他のチームもどんどん強くなっていて、アルバルクが勝つには過去最高に厳しい状況になっていますが、そこで集中力を切らさないために、ファンの皆さんにも厳しいシーズンを一緒に戦ってほしいと思います。