文=丸山素行 写真=鈴木栄一

栃木ブレックスの『新しい風』となれるか

昨日行われたアーリーカップ『関東』大会の2回戦、千葉ジェッツと栃木ブレックスの一戦は千葉が32点差をつける圧勝に終わった。ここまで一方的に初代王者が敗れる姿は誰にも予想できなかったはず。それでも栃木の長谷川健志ヘッドコーチは「良い課題ができたと思っています」と、冷静にこの結果を受け止めた。

新加入組の一人である喜多川修平は、試合をこう振り返った。「チームでまだ動きがギクシャクしてる部分が多々あります。その中でチームで練習してる部分が何本か出たので、それをいかに40分間できるかがカギになってきます。まだ完成度は高くはないですが良い経験ができたので、改善して修正していきたい」

ファイナルMVPの古川孝敏が移籍を選択したが、入れ替わるように琉球ゴールデンキングスの日本人選手で一番の得点力を担った喜多川が加入した。周囲の期待を喜多川自身も理解している。「去年優勝してファンの方々は期待を持っていると思うんです。僕は新しく入ってきたメンバーなので『新しい風』というか、そういう部分を出せれたらいいなと思います」

ただ、これは『職人気質』の性格から来るものだろう。必要以上に意気込むことなく自然体で、新たな挑戦に向かい合っている。「2連覇に貢献したいともちろん思っていますが、初代王者としてのプレッシャーというのは、そこまで感じていません」という言葉は喜多川らしい。

「点を取るのが仕事なので、もっとアグレッシブに」

「自分は得点を取るのが仕事なので、もっとアグレッシブにやっていきたい」と喜多川は言う。この『アグレッシブ』こそが、新天地ブレックスにおいて喜多川に求められることだ。

「練習中、5対5の場面でシュートを打てるのにパスをさばくシーンが何回かあったんです。その時に『今年は得点を取っていく立場になってくると思うから、打ちすぎっていうくらい自信を持って、打てるタイミングがあったらどんどん打っていけ』と言われました」と田臥勇太からアドバイスを受けたことを喜多川は明かす。

だが昨日の試合ではそのアドバイスを遂行できず、5得点と不発に終わった。「まだ遠慮してる部分がどこかしらあると思うので、もっと打ち切っていきたい」。喜多川にとって、ここが一番の反省すべき点なのだろう。

Bリーグのチームの多くは、日本人ビッグマンが少ないことから外国籍選手を4番か5番で起用することが多い。だが栃木には竹内公輔という日本を代表する選手がいることで、外国籍選手を3番で起用できるという強みがある。昨日の試合ではそれが裏目に出たが、しっかりと準備すれば栃木の新しい武器になるはずだ。そこで連携が構築されれば喜多川のパフォーマンスも自ずと上がっていくに違いない。

「開幕まであと1カ月ぐらいなので、チームとしても個人としてもクオリティを上げてやっていきたい」。そう話す喜多川にやはり焦りは見られず、それが逆に頼もしさを覚えた。

開幕を迎える頃には「打ちすぎ」と笑って仲間に突っ込まれる喜多川の姿が見れるはずだ。