菊地祥平

金丸とガードナーに「最初は好きにやらせてしまった」

アルバルク東京はホームにシーホース三河を迎えた第1戦を92-84で勝利した。三河の得点源であるダバンテ・ガードナーと金丸晃輔に対して激しいプレッシャーをかけ、さらにチームディフェンスも徹底してチャンスを与えなかったことがA東京の勝因となった。

中でも金丸とマッチアップした菊地祥平に注目したい。第1クォーターこそ8得点を許したが、その後は第2クォーターで4点、第3クォーターは3点と抑え込んだ。金丸がボールを持っている時はもちろん、それ以外の時でもプレッシャーを与え続け、オフェンスに絡む回数を減らした。

しかし菊地は、第2クォーター以降の出来について語るのではなく、「僕の仕事であるディフェンスの面で金丸選手、ガードナー選手に最初は好きにやらせてしまい、そこが今日の反省点」と試合を振り返った。

この言葉には理由がある。「今シーズンの三河さんのファーストオプションはガードナー選手と金丸選手です。まずはファーストオプションを消すことで、相手のリズムを崩していけます。そういった意味で、彼らは得点こそしていないですけど、もう少し動くこと自体を苦しめて、精神的にももっとやりづらいと思わせるようにできる部分が今日はまだあったと思います」

菊地祥平

勝ってなお「もう少し金丸選手を苦しめられたら」

それでもガードナー、金丸ともに第4クォーターはコートに立たなかったのだから、A東京のディフェンスがいかに2人にダメージを与えていたかは明らかだ。さらにガードナーへのディフェンスは、4番と5番がダブルチームで守り、時には3人がかりで抑えることで、シュートだけでなくパスも出させないほどの徹底ぶりだった。

菊地も「竹内(譲次)とケビン(ジョーンズ)が本当に頑張ってくれて、ガードナー選手もフラストレーションを溜めながらやっていたと思う」とチームメートの働きを認めたが、「そういった意味では僕がもう少し金丸選手を苦しめられたら、もうちょっと楽に勝てたんじゃないかな」と、自分の出来には一切満足していない。

菊地は自分の役割を「完全にディフェンスだと思っている」と言う。それでもこの試合では15得点4アシストを記録。スティールからの速攻や、勢いのあるドライブなどで得点を挙げ、チームの勢いを加速させたが「オフェンスはそんなに重視してない」と菊地はきっぱりと言う。

「あくまでもウチのオフェンスのメインはビッグユーザーである田中(大貴)や安藤(誓哉)で、2人にディフェンスが寄るのは当たり前です。そこで僕が空いた時にしっかり仕事をできれば、あの2人にディフェンスが寄れず、もっと良いスペーシングでオフェンスができます。今日は三河さんが最初にピック&ロールを潰そうとして寄ったところで、あの2人がパスをさばいてくれました。そこでしっかりシュートできたのは自分にとっても良いことですが、それでもそこを重視するつもりはありません」

菊地祥平

「今日の点数は50点いかないぐらいだと思う」

この試合では攻守に渡り活躍をしていたが、本人にとってはディフェンスでの課題が多く残り「今日の点数は50点いかないぐらいだと思う」と厳しい自己評価を下した。

最大リードは21点だったが、第4クォーターに27失点と三河の反撃を浴びて最終的には8点差。これが菊地の気持ちを引き締めていた。「苦労して作った点差を、試合終盤とは言え簡単になくしてしまった。それこそ明日も試合があるのに、最後に相手を乗せるわけではないけど、明日だったらできるんじゃないかっていう精神的余裕を与えてしまうのは、こっちとしては不安要素の一つになる」

そう、第2戦に向けて三河の選手たちの闘争心を高めるような展開にしてしまったことを菊地は悔いていた。「そういった意味でも、30点差をつけるなり、徹底的にやるべきだった。そこをやりきれないのがウチの弱さです」

今日の第2戦では三河も課題を修正し、対策を練ってくるだろう。オフェンスに関してはリーグでもNo.1のポテンシャルを持つと、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチも三河への警戒を怠らない。勝って兜の緒を締めよ、の言葉以上に強い気持ちで連勝を狙いに行くA東京の、そして菊地祥平のパフォーマンスに注目したい。