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「僕が2Kでウルブズを使うなら」と起用法を明かす

この夏の編成で最も成功したチームはティンバーウルブズだろう。ブルズとのトレードでジミー・バトラーを獲得した他、ポイントガードのジェフ・ティーグ、シックスマンのジャマール・クロフォード、経験豊富なタージ・ギブソンという新戦力が加わった。もともとアンドリュー・ウィギンズ、カール・アンソニー・タウンズとタレントは揃っており、NBAの主役に躍り出るのではないか、という期待の声も出ている。

しかし、コートでは机上の計算が通用しないもの。ウォリアーズのケビン・デュラントは、『Bill Simmons Podcast』に出演した際、ウルブズ主力の誰かが本来のプレースタイルを変える必要があると指摘した。

「まずはティーグから考えてみようか」とデュラントは語り始める。彼はシュートはそこまで上手ではないけれど、実力者だ。でもポジション上、彼はボールを持つ選手だよね。ジミーはシュートが上手いけれど、リズムを必要とするタイプだから、彼もボールを持ちたがる。そしてウィギンズも同じで、彼もボールを持ちたい。みんな点が取れる選手だけれど、誰かが何かをあきらめないと、うまくは行かないはずだ」

「つまり、チームとして機能させるためには、誰かが何かを犠牲にしないといけないということ。きっと彼らなら上手くやるだろうね。ただ気がかりなのは、タウンズもボールを必要とする選手だということ。彼も素晴らしい選手だからね。おそらく、ジミーが繋ぎ役になる必要があるかな。点が欲しい場面では、ウィギンズがフィニッシャーになるだろうし。もし僕が2K(NBAのゲーム)でウルブズを使うなら、こういう起用法になるね」

デュラントが語ったことは、昨シーズン開幕前ウォリアーズに向けられた意見に似ている。ステフィン・カリー、デュラント、クレイ・トンプソンらが互いの持ち味を消さずに共存することは不可能だと話題になった。シーズン序盤はデュラントを生かすためにカリーが一歩下がる形を取った。それでも後半戦になるとカリーも本来のスタイルに戻し、デュラントの連係は完成に至った。

ウォリアーズは強烈な個性がチームとしてうまく噛み合った好例となったが、決して簡単な作業ではなかったとデュラントは言いたいのだろう。トレーニングキャンプ、プレシーズンの期間だけでは難しく、開幕後に実戦を繰り返す中でケミストリーを作っていく必要がある。

しかし、それは強いチームを作り出すための新たな段階にウルブズが足を踏み入れただけのこと。今夏の補強自体は大成功で、戦力は充実した。全盛期のケビン・ガーネットが主力だった『強いウルブズ』に戻るための準備は整ったと言える。デュラントがシーズン開幕前に特定のチームについて、しかも選手個々の能力について語るのは珍しい。それだけウルブズのポテンシャルを警戒しているとも受け取れる。

だがウルブズ以外にも、今夏はクリス・ポールとジェームズ・ハーデンのロケッツ、ラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージのサンダーといった強力な新チームが誕生している。これだけのメンツが『スーパーチーム』ウォリアーズに挑むのだから、今シーズンの西カンファレンスは過去最高レベルの争いになるに違いない。