ディヤサンにボールを集める岐阜女子の攻めが機能
福島で行われたインターハイ最終日、女子の決勝はもうお馴染みの顔合わせ、桜花学園(愛知)と岐阜女子(岐阜)の対戦となった。
前半は岐阜女子のバイ・クンバ・ディヤサンの高さと強さが目立つ展開に。ゴール下のディヤサンがうまく裏を取り、そこにボールを集める岐阜女子のオフェンスが機能して次々と得点を重ね、第1クォーターを15-8とリード。第2クォーターになってディヤサンにボールを入れさせない、入れられても前を向かせないタイトなディフェンスで桜花学園が持ち直すものの、終始ペースを握った岐阜女子が26-19とリードして前半を折り返す。
それでも後半は桜花学園が立て直す。ボールが入る前からディヤサンに対して激しく当たるフィジカルなディフェンスを遂行し、ビッグマン総出でゴール真下から締め出す。ファウルはかさんだが、これでディヤサンの得点ラッシュが止まり、ようやく桜花学園に流れが傾く。山本麻衣、藤本愛瑚を中心に精度の高いジャンプシュートを決めて差を詰め、1年生の平下愛佳がバスケット・カウントの3点プレーを決めて33-33と追い付いた。
ディヤサンを封じられて流れが悪くなっていた岐阜女子だが、最終的にこの試合に勝つ決め手となったのが、この後の数分間の逆襲だ。ピンチに縮こまってしまうのではなく、チーム全員が吹っ切れた。ディヤサン頼みのバスケットから脱却、桜花学園以上にスピーディーに走り、激しく当たるように。スティールから速攻に転じ、戻りの速い桜花学園の守備にシュートを落とすも、これをディヤサンがフォローして押し込む。さらには石坂ひなたがショットクロックぎりぎりのジャンプシュートを沈め、さらには3ポイントシュートも決めて44-37と突き放す。
山本に3ポイントシュートを返されるも、木下七美がディヤサンのスクリーンを使ったドライブから得点し、46-40で第3クォーターを終える。
山本が驚異的なシュートの連発で追い上げるも及ばず
最終クォーター、『勝利を知る』桜花学園のキャプテン、山本麻衣がゾーンに入る。自らオフェンスリバウンドを取ってのステップバック・ジャンプシュートを決めると、次はファウルを誘ってフリースローで加点。あっという間に46-46と追い付く。ここから試合のテンポはどんどん上がり、球際の激しさも苛烈なものに。
勢いは桜花学園にあったが、追い付くことはできても逆転できない。さらに残り5分11秒、ディヤサンに激しく当たっていた出原菜月がファウルアウト。他の選手も軒並みファウルがかさんでおり、苦しい状況に追い込まれた。これまでシュートセレクションが良く高確率で得点を伸ばしていた桜花学園だが、疲れと焦りから確率が落ちてくる。さらにはプレッシャーが弱くなったところでディヤサンのゴール下が復活。岐阜女子が効率良く得点するようになった。
木下のタフショットが決まり岐阜女子が61-52とリードを広げたところで勝負アリ。山本が意地のワンハンド3ポイントシュートを決めるも及ばず、最終スコア61-55で岐阜女子がインターハイ初優勝を決めた。
安江満夫監督は「桜花学園に追い付き、追い越すことは普通ではできない。そういう目標を子供たちがあきらめず毎日毎日努力して、結果が出て……」と涙で声を詰まらせた。リードしながら追い掛けられる苦しい展開にも、「あれはウチらしいゲーム展開で、ああいうところで耐える練習をしていたので大丈夫だと思って我慢しました」と胸を張った。