『テリフィック12』早期敗退「今日は完敗です」
『テリフィック12』に参加したBリーグ勢は4チームともにグループステージ敗退。2シーズン連続でBリーグのファイナルに進出している千葉ジェッツも例外ではなかった。初戦には快勝したものの、第2戦でソウルSKナイツに大敗。コンディションを考慮してギャビン・エドワーズが欠場したことも大きかったが、千葉のスタイルである『激しい守備、リバウンドから走る』というバスケットを相手に完璧に遂行されたことは、韓国バスケのレベルの高さを痛感させられる出来事だった。
76-86というスコア以上に内容に差のある敗戦を受けて、田口成浩は「フィジカルの部分で受け身になったことで最初の入りが悪く、慣れるのに時間がかかってしまった。選手がみんなデカいですし、このデカいチームにあれだけ走られると厳しいです。本当はこれが自分たちがやらなきゃいけないバスケットなんですけど」
『激しい守備、リバウンドから走る』。言葉にすると簡単だし、このスタイルを掲げるチームは多いが、Bリーグにおいて千葉ほど徹底し、遂行されているチームはない。しかし、韓国には千葉と同等かそれ以上にやって来るチームがあった。「トランジションで前半やられすぎました。良いシュートを打っても決まらず、そこでセーフティーができておらずハリーバックも遅れてしまう形がありました。相手が走ってきたこともありますが、誰がリバウンドに行き、誰が守備に戻るのか、自分たちのシステムが機能させられませんでした」
「今日は完敗です。でも、最初のフィジカルの部分は次にやられることはないし、トランジションにしても走られてもファウルで止める、相手の流れを食い止めることはできたはずです。自分たちのやるべきことを徹底してやる。この負けの経験を生かさずに同じようなやられ方をするのでは応援してくれている人にも申し訳ないので、しっかり練習で修正します」と田口は言う。
「誰かを相手に競うのではなく、やるべきことに集中」
もっとも、千葉はまだチーム作りの最中。相手と戦う以前に各ポジションの序列を決めるチーム内競争が行われている。千葉ジェッツのウイングでは石井講祐とアキ・チェンバースが抜けて、晴山ケビンとコー・フリッピンが加わり、今シーズンも競争は熾烈になっている。
チーム内競争で遅れを取るつもりはないが、チームメートに対してことさらにライバル意識をぶつけるわけでもない。その心境を田口はこう話す。
「昨シーズンは石井さんという素晴らしいシューターがいて、その良いところを盗んでやろうという気持ちでやって来ました。今回また新しい選手が入って、もちろん原(修太)も(小野)龍猛さんもいますが、自分がそれぞれの良いところを学んで、かつ自分がやるべきことをやれば、自然と試合には出られると思います。心境としては誰かを相手に競うのではなく、自分自身がやるべきことに集中してやりたいと考えています」
昨年夏、秋田ノーザンハピネッツを離れて千葉にやって来たのは、自分を成長させたい、そのための挑戦をしたいという一心だった。その気持ちは変わらず、覚悟はさらに強くなっている。
「メンタルは強くなったと思います。去年にジェッツに来て、どうしたらアジャストできるか、どうやったら自分の味を出せるのかを1年かけて試行錯誤してやってきました。その経験があって、ダメな時も立て直せるという自信が持てました。去年はダメなことがあると『うわあー』っていうのが激しかったのですが、今は耐えられます。そういう意味のメンタルですね」
「夢を掲げて、夢に向かって動く。それが自分の生き様」
昨年、移籍を決めた理由の一つとして田口はオリンピック出場を挙げていた。不可能に近いと承知の上で公言した『夢』である。もっとも今は、ワールドカップを終えてオリンピックが1年後に迫り、代表入りの可能性はほぼゼロとなった。それでも、田口は『夢』を撤回しない。
「夢を掲げて、夢に向かって動くことで、人としても選手としても成長できると思っています。夢がかなうかどうかは関係なく、そこに向かってやるべきことをやる。それが自分の生き様でありたいと思っているので、今後もやめたくはないです」
その田口にとって、ワールドカップは他人事ではなく、見ていて感じることも多かった。
「あれだけの選手を揃えてあの結果ですから、その場にいない自分を考えると『やべーぞ』と。特に刺激を受けたのはアメリカ戦で、あわよくば、日本を舐めてかかってくればワンチャンあると思っていたのですが、一切そんな感じはなく徹底してやっていました。相手は関係なく、目の前の試合を全力で戦う姿勢にすごく感じるものがあって、それは自分もBリーグで、一生懸命にチャレンジの気持ちを持ってやっていけばいいことですから」
そんな田口は新シーズンの目標をこう語る。「まずは昨シーズンよりもプレータイムを伸ばすことです。そして全試合に出続けてチームに貢献すること。個人としては武器である3ポイントシュートの本数と確率を上げることです。本数を打つのも大事ですけど、外れてもいいなら誰にでもできることなので、やはり確率良く決めることが自分の役割だと思います」
そしてあらためて『夢』を語る。「信じていれば何か起きるかは分からないので、クソでかい夢は自分の中でちゃんと持っておきます。そして目の前にあるシーズンの目標としては、やっぱり優勝したい。これは自分たち次第で実現できる目標だと思うので、つかみ取りたいです」