ダンカン・ロビンソン

「迷わず打てる、という意味では最高の状態にあるよ」

NBAプレーオフはセカンドラウンドに入り、ピストンズはその初戦を111-101で勝利した。ピストンズもキャバリアーズも『GAME7』を勝ち抜いて、疲労と勢いの両方があった。試合開始からエバン・モーブリーのダンク、ドノバン・ミッチェルの3ポイントシュートでキャブズが5-0とリードするも、そこからの9分間でピストンズが32-9のラン。第1クォーターで37-21と大量リードを奪い、終盤に追い上げを浴びたものの111-101で勝利した。

ベテランのトバイアス・ハリスは「すごく集中できていた」と手応えを語る。「ディフェンスからリズムを作ってオフェンスに繋げられた。『GAME7』を終えたチームは次の試合で気が緩みがちだけど、自分たちはそんなことがあってはならないと試合前に声を掛け合ったんだ。観客を味方に付け、熱量を持って戦うことができた」

ケイド・カニングハムは冷静沈着なハンドラーとして安定した活躍を見せた。ファーストラウンドでは苦戦の目立ったジェイレン・デューレンも波に乗りつつあり、終盤に追い付かれた場面でのダンク3連発で強烈なインパクトを残した。

それでもヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフは、層の厚さがもたらした勝利であることを強調した。第1クォーターは10選手を起用して流れを作り、プレータイムや役割にかかわらず全員が自分の仕事を全うしている。「出場時間が短くても全力でプレーする。そんな選手を次々と送り出して相手に負荷を掛けられるのが我々の強みだ」と指揮官は語る。

ハリスはファーストラウンドに続いて好調を維持し、カニングハムの23得点に次ぐ20得点を記録。さらには彼がミッチェルのマークを担当し、カニングハムにはジェームズ・ハーデンのマークだけと負担を軽減したことが、安定した試合運びに繋がった。

マジックとのシリーズは1勝3敗から3連勝で制し、この初戦にも勝って4連勝。「まだ改善の余地はある」とハリスは言うものの、「チーム全員の努力で勝っている。この勢いを持続させたい」と自信を強めている。

他にもシックスマンのデイニス・ジェンキンスは冷静なカニングハムとメリハリを付け、アグレッシブに攻める姿勢でチームに勢いを与えた。デューレンのダンク3連発を浴びても追いすがろうとするキャブズの意欲を断ち切ったのは、ミッチェルのシュートを防いだジェンキンスがコースト・トゥ・コーストで決めたダンクだった。アイザイア・スチュワート、ロン・ホランドといったベンチ組の堅実な働きも貴重なものだ。

そして、ダンカン・ロビンソンも5本の3ポイントシュート成功を含む19得点と勝負強さを発揮。毎年タフな戦いを演じたヒートに所属したことでプレーオフでの経験が豊富な彼は、普段は味方のプレーを助けるスペーシングに徹しているが、相手ディフェンスの警戒が緩くなれば『代償を払わせる』準備ができている。

「NBAキャリアを通してずっとこの役割をやっているから、重要な試合での1本を決められるかどうかのプレッシャーに負けることはない」とロビンソンは言う。「シーズンを通してこの瞬間のために練習を積み重ねているんだから、迷わず打つだけだ。もちろん、常に完璧とはいかない。マジックとの『GAME7』では思ったほど決められなかった。でも、僕の仕事は打ち続けることだし、仲間たちが背中を押してくれる。決まるかどうかにかかわらず『迷わず打てる』という意味では最高の状態にあるよ」

3ポイントシュートは8本中5本成功。第4クォーター最初の3分間で、2本の2点シュートと3ポイントシュート1本を含む7得点を挙げる『ダンカン・ロビンソンの時間』も作った。デニス・シュルーダーとのポジション争いで相手にフラストレーションを与えるところから、その時間は始まった。右コーナーから一歩踏み込んでのフローターは、キャブズ守備陣の意表を突くもの。オフェンスリバウンドを奪ったデューレンが素早く戻したキャッチ&シュートのチャンスを確実に決めた後は、同じ場所からシュートチェックに来たミッチェルをかわしてドライブに行き、キーオン・エリスをユーロステップでかわして技ありのフローターを決めた。

「たまにドライブを織り交ぜるプレーは好きなんだ」とロビンソンはこのプレーを振り返った。「相手は3ポイントラインで僕を止めようとしてくる。若手だった頃はそれでも打ちきろうとしていたけど、そこからプレーの幅を少しずつ広げてきた。僕が得点を決めて喜ぶのは、2点シュートを決めた時なんだ。3ポイントシュートは『決めて当然』みたいな表情を作りたいからね(笑)」

主役から脇役まで全員がそれぞれの仕事を全うする強さが、今のピストンズの勢いに繋がっている。ロビンソンは語る。「11番手、12番手の選手まで、コートに立てば誰でも持てるエネルギーのすべてを出し尽くす。それが今シーズンの僕らのアイデンティティだ。今日のロン・ホランドの活躍を見てほしい。マジックとのシリーズでは思い通りにプレーできなかったけど、短い時間の中で必死に練習して、今日のチャンスを待っていたんだ。これが僕らの強さだよ」