藤岡麻菜美はアジアカップ大会ベスト5の『幻想』を振り切り前進「新しい自分を」

藤岡麻菜美はアジアカップ大会ベスト5の『幻想』を振り切り前進「新しい自分を」

2019/07/31 11:30

藤岡麻菜美

「今までのベスト、でももうそれは過去のこと」

バスケットボール女子日本代表は9月末のアジアカップに向けた強化合宿を実施しており、メンバー選考の熾烈なサバイバルレースが行われている。前回、2017年7月に行われたアジアカップにおいて、藤岡麻菜美は準決勝の中国戦での19得点14アシスト8リバウンドを筆頭に、大会平均11.3得点、8.2アシスト、5.2リバウンドの大活躍を見せ、大会ベスト5に選出されて優勝の原動力になった。その直後に行われたユニバーシアードでも日本代表を50年ぶりの銀メダルに導き、『有望な若手』から一気に次代の代表を担う存在になった。

しかし、この2017年夏以降、藤岡は様々な試練に直面する。翌年は故障で1シーズンを通してほぼプレーできず。昨年はJX-ENEOSサンフラワーズで吉田亜沙美に代わり先発ポイントガードを務めたが、自分と交代で吉田が入ることで他の選手がより生き生きとプレーしている現実を突きつけられる。さらに大一番の勝負どころでベンチに座る試合が続く悔しさも味わった。

まさに天国と地獄を経験した2年間を経て、今の藤岡はアジアカップの舞台で再び活躍することで東京オリンピックへ弾みをつけることを狙う。だが、前回大会の再現とは考えない。

「確かに前のアジアカップは、今まででちゃんと結果として目に見えた中でのベストだと思います。でも、もうそれは過去のことです」。きっぱりとそう言う藤岡は、2年前の姿を追い求めなくなったことで、今はよりクリアな精神状態でバスケットボールに向き合えている。

藤岡麻菜美

「常に危機感がないと上手くなれないと考えています」

「あの大会以降の2年間はケガしたり、いろいろと上手くいかなかったり、モヤモヤしていました。アジアカップをベースに考えすぎて、そこと比較してうまく行かない自分にイライラして、自分で自分を苦しめていました。そこから、あの大会は過去のことと割り切って、今は新しい自分を見つける、そういうスタンスで行こうと、やっと気持ちの整理ができました。まずはバスケを楽しむ、がむしゃらにやるという感じに思えています」

代表の常連となっている藤岡だが、一方でチーム内の序列は国際強化試合や練習での使われ方を見ると、ポイントガードの3番手という状況だ。しかし、そこにも今の藤岡は「焦りはない」と言い切ることができる。

「今の心境は、与えられたことを精一杯やる、それで結果を残していくしかないです。前回のアジアカップも、最初は3番手で出ていました。大会では本当に何が起こるか分からないので、いつでも行けるように練習から準備して、上を向いてやっていくだけです」

「常に危機感がないと上手くなれないと考えています。2年前は12名に残れるかどうかをすごく考えていました。でも、それだとチームのためにならない。1年後のオリンピックで金メダルを取るために自分が何をできるか、何をしなければいけないかを常に考えるようにしています」

藤岡麻菜美

「スペースがないところでの判断力を高めるのが課題」

今年のアジアカップは、藤岡にとって復活を果たすための舞台ではない。あくまで進化した姿を見せる大会であり、そのために今、意識しているのがプレーの精度をより高めることだ。

「一つひとつのパスの精度を高める。シューターなど、それぞれ味方が打ちやすいところにしっかりパスを出すことを課題にしています。また、スピードを生かしてゴール下にがむしゃにアタックするのではなく、周りを見ながら行く。外にパスばかりすると相手が思っていたら自分でシュートに行く。そこで自分にマークが来たら引きつけてパスを出す。そういったゴール下のスペースがないところに入った時の判断力を高めるところも課題です」

「自分はもともと、アシストの方が得意なタイプでした。ただ、あのアジアカップでは、周りも得点のイメージが強いと思います。自分も一時期、得点に意識が行きすぎてリングしか見ていなくて、今までだったらパスをさばいていた場面でできていない時がありました。高校、大学の時はパスしか見えていませんでしたが、今は自分が仕掛けることができる。それでシュートも打てるし、相手が寄ってきたら味方をしっかり生かす。このプレーを早くしっかりと自分のものにしたいです」

これまでのバスケットボール人生でベストのパフォーマンスを発揮できた直後、ほぼ1シーズンに渡って欠場。そこから復帰できたら今度は思うようにプレーができない1年があった。もちろん故障をしないに越したことはない。ただ、苦しみを味わったからこそ、あらためて見えてきたこともある。その経験を糧にした藤岡が見せる『新しい姿』を楽しみに待ちたい。

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