
OBの瀬川琉久や佐藤凪と共通する『一本の芯』
4月11日から12日に渡って『MANDOM presents 飯塚カップ 2026』が開催。地元からは福岡大学附属大濠と福岡第一、県外からは新潟県の開志国際、京都府の東山が一堂に会して熱い戦いが繰り広げられた。飯塚カップは新しく入学した1年生も出場する大会とも知られていて、新年度のチームがどういった装いなのかを知る場となっている。
参加校の一つである東山といえば、昨年の『ウインターカップ2025』で、エースガードの佐藤凪が満身創痍の中でチームを牽引したが、福岡大学附属大濠の前に決勝で力尽き、あと一歩のところで栄冠を勝ち取ることができなかったことが記憶に新しい。佐藤の抜けた穴を誰が埋めるのかという不安もあったが、指揮官を務める大澤徹也コーチはこれに対して、攻撃型により特化したスタイルを追求しながら「今回は5人が連動するバスケットを目指していきたい」と語っている。
同月4日から開催されていた『アルベルト・シュヴァイツァートーナメント』で、男子U18日本代表のチームリーダーを務めていた大澤コーチは、チームとは別に一足先に帰国し、飯塚カップへ臨んだ。京都府新人戦以来の合流となった指揮官は、1年生ポイントガードの吉本拓志を先発に抜擢。福岡大学附属大濠との試合では12得点、開志国際との試合でも9得点、福岡第一との試合は、24分58秒のプレータイムで6得点5アシスト5リバウンドとマルチに活躍し、1年生とは思えないハンドリングとゲームコントロールで観客を魅了した。
吉本は千葉ジェッツの瀬川琉久が在籍していたクラブチームのゴッドドア(兵庫県)出身。昨年のJr.ウインターカップでは平均16.8得点、4.8アシストと活躍し、前年度優勝のRIZINGS徳島を破り準決勝進出に貢献した。自身も平均16.8得点、4.8アシストの活躍をした経歴を持つ。その吉本に対して大澤コーチは、瀬川や佐藤に似た印象を感じていると語った。その似ているモノというのが、「意志が強く自己主張がちゃんとできる。その中で言われたことに柔軟に対応できる感覚」だと言う。
そしてこう続ける。「彼らと同様に一本しっかりとした芯があり、あの感性は東山のバスケットにぴったりフィットするんじゃないかというのが第一印象です。彼のスキルももちろんそうですし、感性もウチのバスケットで伸ばしていくことが彼にとって一番良い選択じゃないのかな、ということで声はかけさせてもらいました」

吉本「自分には自分だけの色があります」
かくして東山の門を叩いた吉本は、すでにチームにフィットしつつある優れたパフォーマンスを見せた。プレーを終えたルーキーは「まだまだ練習期間も短いですが、他のチームメートに自分から話しかけに行くことを普段からしているので、思ったよりスムーズにいっている感じはあります」と、手応えを感じている。
「(大澤コーチからは)自分が入ったらバスケットのリズムを上げてほしいと言われています。今はブレイクを出す練習をしていますが、パスを出したら終わりではなく、出した後にもう1回ボールをもらってピックを使って攻めること、そこからは自由にプレーして良いと言われています」と、クリエイト能力の期待値も高い。
自由度を持たせている理由について、大澤コーチはこう説明する。「自由にやらせつつ、必要なスキルを身につける。やっぱり自分の今の感性というのはすごく大事にしてほしいので、今のスタイルや芯の強さというのはブレずに変わらず持ち続けてほしいです。変に『東山のバスケットはこういうものだ』と押し付けるのではなくて、子どもたち個人が今持っているモノをできるだけ伸ばしていく指導を心がけています」。そしてこれからの吉本の課題について、こう続ける。
「一瞬でフッとスイッチを入れようなチェンジオブペースだったり、パスの感性、あれは持って生まれてきたモノなので、私たちが言ってできる能力じゃないと思うんですよね。だからこそ、今やっているプレーのバージョンアップを求めています。ボールキープ力を高めることや、パスコースをしっかり見ることなど、ガードとしての資質を上手くバージョンアップしていって、今の感性をできるだけ伸ばしていくことが、彼にとっては必要だと思います」
吉本に直系のOBである瀬川のプレーが参考になるかを尋ねると、尊敬の念を口にしながらも「自分には自分だけの色があります。パスを出したりと、なんでもできるプレーヤーになりたいです」と語った。この言葉からも強い芯を感じさせる若き司令塔は、東山が目指す超攻撃型バスケットの一端を担う存在として期待が高まっている。
「1年目でしかできないことといえば、思い切りよくプレーすることです。先輩たちも優しく声をかけてくれいる中で思い切りよくやって、自分がチームをコントロールして日本一に導きたいです」