
不振のクミンガを励ます「得点がすべてじゃない」
ウォリアーズはステフィン・カリーを体調不良で欠き、キングスとナゲッツに連敗を喫していた。ナゲッツに敗れた試合後、ベテランのドレイモンド・グリーンとジミー・バトラーは若手のプレー強度の低さに怒った。カリーが復帰すればオフェンスは改善するにしても、ディフェンスまでカリーに頼るわけにはいかない。それを理解していないような若手の不甲斐なさを、ベテランの2人は手厳しい言葉で批判した。
2日後の現地11月9日、ホームでのペイサーズ戦でウォリアーズは奮起し、114-83の快勝を収めた。相手はケガ人続出でまともに戦える状態ではなかったが、ウォリアーズにとって大事なのは相手のコンディションではなく自分たちがどれだけ力を発揮できるかだった。
21得点9リバウンド7アシストで攻守に活躍したバトラーは、自分たちの指摘に若手が応えての勝利に上機嫌だった。「良いリアクションを見せてくれたよ。『勝つ時も負ける時も一緒だ』と僕はいつも言っているが、それと同時にディフェンスで自分がマークしている相手に得点された時には自分自身の責任として受け止めなければいけない。バスケは5人で戦うものだけど、そういうメンタリティも必要なんだ」
勝ち方を知るベテランが老いつつある今のウォリアーズでは、若い選手たちが『勝者のメンタリティ』を身に着ける必要がある。そういう意味でバトラーは「本当の意味でハードワークするチームになりたい」と希望を語った。
「良い時も悪い時も団結し、外部の雑音を気にしない。調子が悪い者がいれば誰かが励まし、調子に乗りすぎている者がいればまた誰かが謙虚にさせる。それが『チームの団結力』なんだと思う」
そしてバトラーは、弟分として面倒を見ているジョナサン・クミンガについても思いを語った。クミンガはナゲッツ戦で不甲斐ないプレーに終始し、このペイサーズ戦ではプレー強度は取り戻したがフィールドゴール9本中1本成功と、得点面でカリー不在のチームを救うという期待に応えられていない。
「絶不調の彼をケアするつもりはあるか」と問われたバトラーは、「今日の夕食に招いているから、今から一緒に僕の家に帰る」と答えた。
「誰に対しても同じことを言っているけど、毎試合素晴らしいプレーができるわけではないし、毎試合ひどいプレーをするものでもない。79得点を挙げても浮かれ気分になってはダメだし、2得点でも必要以上に落ち込まなくていい。いつもメンタルは真ん中に置いて、毎日努力し続けていれば、いずれ好不調の波は均一になる。チームが勝っている限り、僕は個人のパフォーマンスは気にしない。今日のJK(クミンガ)は5得点だった。でも、それがどうした? 僕たちは勝ったんだ。それにディフェンスでもリバウンドでも頑張っていた。得点がすべてじゃないと、彼には今夜伝えるつもりだ」
別の記者はクミンガについて、ドライブに消極的になって3ポイントシュートに逃げているのでは、と指摘した。しかしバトラーは同意しない。
「彼が打つ3ポイントシュートすべてを僕は気に入っている。何本か決めていれば、君は『今日のクミンガはアグレッシブだった』と言うか、あるいは彼について何も言わなかっただろう。誰でもミスを犯す。JKが2本シュートを外し、ターンオーバーを1回やったとして、それで負けることはない。一人のプレーだけが勝敗を左右することは決してないんだ。メディアの記事は読まなくて良いし、SNSも見なくて良い。見たってバスケは上手くならないからね。ただ謙虚にコートに立ち、全力で戦うんだ。彼に伝えたいのは、その時はチームメートもフロントも支えるということだ」