
本職の守備だけでなくトレイ・ヤング不在の攻撃も牽引
ホークスは現地11月7日にラプターズに敗れた翌日、レイカーズと対戦。エースのトレイ・ヤングが戦線離脱中で、この試合ではクリスタプス・ポルジンギスにニキール・アレクサンダー・ウォーカー、ジェイレン・ジョンソンが欠場となり、ルカ・ドンチッチを擁するレイカーズに勝ち目はないと思われた。
しかし、試合は大方の予想を覆す方向に進んだ。ホークスは第1クォーターを37-29で上回り、その後もセーフティリードを保ったまま122-102の完勝を収めた。先発全員を含む7選手が2桁得点を記録。コートに立つ選手全員がチームプレーに徹することでレイカーズを圧倒した。
ヤング不在の今、チームを引っ張るのはダイソン・ダニエルズだ。36分のプレーで10得点8リバウンド13アシストを記録。得点は物足りないように見えるが、フィールドゴール8本中5本成功と効率は良い。質の高いディフェンスで知られるダニエルズは、ディフェンスで期待通りのパフォーマンスを見せると同時にヤング不在のオフェンスで繋ぎ役となった。
運動量でレイカーズを圧倒する若いチームが活発なフリーランを見せる中、ダニエルズがボールを落ち着かせて、チームのスピードを削がない形でパスをさばく。13アシストを記録してターンオーバーわずか2という優れたスタッツだけでなく、スタッツに残らない繋ぎのパスでチームオフェンスを動かした功績が大きい。
「アグレッシブにプレーしてペイントエリアに入ることを意識した」とダニエルズは言う。「大事なのは両足を着いてプレーすること。ターンオーバーの多くは足がフロアから離れて、パスの選択肢を探しても見付からない時に起きる。しっかり足を着いて周囲を見る。慌てなくてもチームメートはボールをもらうためにサポートに入ったり、カットしたり、コーナーに走っているから大丈夫。落ち着いて判断すればいい」
オフェンス以上にダニエルズが語りたがったのは『本職』であるディフェンスだ。「ドンチッチのマークが僕の仕事で、そこは疎かにできない。ピック&ロールでは仲間がサポートしてくれたし、トラップも上手くやれた。どれだけ執拗にマークしてもドンチッチはビッグマンへのロブを投げたり、コーナーで待つシューターにパスを送るけど、今回は僕らのディフェンスのローテーションが上回った。連戦はスタミナ的に大変だけど、レイカーズは縦に速いチームじゃないから守備のトランジションで走らされずに済んだのは助かった。あれは体力よりメンタルを削るからね」
ヤングが戦線離脱した試合から、これで4勝2敗とホークスはエース抜きで調子を上げている。ダニエルズがチームの軸になっていることに加え、2年目のザッカリー・リザシェイや3年目のモハメド・ゲイがステップアップしているのが大きい。
そしてこの試合では1巡目23位指名のルーキー、エイサ・ニューウェルが17得点5リバウンド4スティールと活躍したのも大きかった。Gリーグの試合に出されることもあったニューウェルは、ケガ人続出の状況を受けてトップチームに呼び戻されて、攻守にハッスルを見せた。
ダニエルズとともに試合後の会見に出たニューウェルは4スティールのディフェンスについて「ダイソン・ダニエルズをずっと見てきたからね」と、隣で微笑むダニエルズを見てうれしそうに言った。「正しいポジションを取り、セーフティを意識して、でも手は積極的に出すのがコツさ」