譲歩した3000万ドルはロケッツの戦力強化に生きる
ロケッツとケビン・デュラントは2年9000万ドル(約150億円)の契約延長に合意した。デュラントはネッツに在籍していた2021年に結んだ4年1億9400万ドル(約290億円)の契約最終年を迎えており、今回の契約は2026-27シーズンからスタートし、2年目はプレーヤーオプションとなる。
デュラントのエージェントは『ESPN』に対し、トレードが決まった時点で契約延長は想定されていたと明かしている。その後の交渉で、デュラントは2年1億2000万ドル(約180億円)の契約延長が可能だったのに対し、チーム強化のために3000万ドルを譲歩したという。
ロケッツは若手中心のチームだが、5年目を迎えるアルペラン・シェングンは今シーズンから5年1億8500万円(280億円)の新契約が発効し、タリ・イーソンの契約延長も控えている。今後は若手の成長に応じてサラリー総額が跳ね上がっていくロケッツが戦力を維持するために、この3000万ドルの余裕は大きな効力を発揮するはずだ。
デュラントはアキレス腱断裂の大ケガを経験し、37歳という大ベテランの年齢になった。今回の契約のプレーヤーオプションを選択した場合、キャリア累計の年俸は5億9000万ドル(約880億円)となり、現時点でNBAの歴代トップとなる。今回は3000万ドルを譲歩してでも、ウォリアーズ時代の2017年と2018年に続くNBA優勝の可能性を高めることを選んだ形だ。
アキレス腱のケガにより運動能力はやや落ちたが、コートのどこからでも決められるシュートの精度をベースとしたオールラウンドな能力はいまだ衰えない。ネッツやサンズでも勝てないチームを支えるためにディフェンスとリバウンドにも注力したし、今回はフレッド・バンブリートが長期戦線離脱となったロケッツでハンドラー役を務めることも厭わない。飄々とした本人が熱い言葉を発することはないが、3度目の優勝への意欲はコート上のプレーで示されるはずだ。