「今このチーム、チームメートを信じている」
バックスのヤニス・アデトクンボは今オフ、『FIBAユーロバスケット2025』で母国ギリシャ代表に銅メダルをもたらした。ギリシャにとって同大会で16年ぶりのメダル獲得に、アデトクンボは「16年ぶりの成功はこのチーム、国にとって本当に幸せなこと。おそらく僕のキャリアにおいて、一番の功績になる」と喜びを爆発させていた。
代表で充実した日々を過ごしたアデトクンボが、次に狙うのはNBAでの王座奪還。2021年にNBA制覇を達成したバックスだが、過去3シーズン連続でプレーオフはファーストラウンド敗退に終わるなど精彩を欠いている。最近は世代交代を積極的に推し進めており、昨シーズン途中のクリス・ミドルトンに続き、今オフにはデイミアン・リラード、ブルック・ロペスとベテランが相次いで去った。昨シーズン、ペイサーズのファイナル進出に貢献したマイルズ・ターナーを補強したが、他の主力メンバーはカイル・クーズマ、ケビン・ポーターJr.、ギャリー・トレントJr.など優勝当時に比べると小粒な感は否めない。
そうなると当然、注目を集めるのはアデトクンボの去就だ。現在の契約では来年の10月1日までにバックスと契約延長に合意しない場合、アデトクンボはフリーエージェントとして2027年夏を迎える。
日頃からアデトクンボは自身を育ててくれたバックス、ミルウォーキーの街への愛と感謝を語っているが、同時に勝てる環境を重要視すると強調している。そして今シーズのバックスの戦力でNBA優勝を狙えると予想する意見は少数で、バックスがスタートダッシュに失敗した場合、アデトクンボがトレードを要求しても驚きはないと見られている。
こういった状況の中、ESPNのシャムス・カラニアは今オフ、アデトクンボが唯一希望した移籍先はニックスで、両チームはトレード交渉を行ったがまとまらなかったと報じた。
この件について聞かれたアデトクンボは、「まず、記事を読んでいない。シーズンが始まるとSNSから距離を置き、自分の技術を高めることとチームに集中している」と語った後、自身のスタンスは前から変わらないと強調する。「何度も言っているように勝てる環境でプレーしたい。そして今このチーム、チームメートを信じている。チームを目指す場所に導くのはタフな道のりとなるだろうけど、そのために毎日の練習で積み重ねているんだ」
ただ、一方で「もし、6ヵ月後、7ヵ月後に意見が変わったとしても、それは人間らしいものだ。どんな決断も自由にできる。だけど今はこのチームに集中している」と将来については含みを持たせている。
アデトクンボの去就についてはシーズンに入っても、彼が契約延長を結ばない限り大きな話題となり続けることは間違いない。バックスがこの雑音を少しでも抑えるには、勝っていくしかない。