内尾聡理

宮永ヘッドコーチ「他の人にできないことをやってくれている」

佐賀バルーナーズは915日、千葉ジェッツとのプレシーズンゲームを78-73で制した。この試合、佐賀は200cm以上のビッグマンでベンチ入りしたのはデイビッド・ダジンスキー、タナー・グローヴスの2人のみ。サイズで不利な状況ながらオフェンスリバウンドを19本奪い、トータルでも53-40と上回ったことが大きな勝因となった。

この点について佐賀の宮永雄太ヘッドコーチは「全員がリバウンドに対して高い意識でプレーを遂行してくれました」と選手たちを讃え、「レイナルド(ガルシア)が、相手の4番ポジションにつくことが多かったですが、逆にアドバンテージが取れる発見もありました」とも振り返った。187cmのガルシアがビッグマン相手に守備で互角に渡り合えれば、オフェンスではスピードのミスマッチを作ることができ、戦術の幅が広がる。

また、佐賀はこの試合で阿部諒、内尾聡理、ダジンスキーと新戦力3名を先発で起用するなど、シーズン開幕へ向けていろいろなことを試している。内尾にとって対戦相手の千葉JBリーグデビューを果たしたチーム。古巣での凱旋試合で持ち前のディフェンス力を買われ、エースの富樫勇樹のマークを担った。しかし序盤からファウルトラブルに陥り、わずか103秒で5ファウル退場と空回りしてしまった。

ただ、これはあくまでプレシーズンであり、宮永ヘッドコーチは「聡理は数字に表れないディフェンスの正しい足の使い方などが本当に素晴らしいです。オフェンスでは自分の動きで周りを生かす、他の人にできないことをやってくれています」と、即戦力として期待を寄せている。

24歳の内尾は、中央大での4年間を終えた2023-24シーズン後半に特別指定で千葉Jに加入。福岡第一高時代から定評のあるディフェンス力を武器にチャンピオンシップで全6試合に先発出場と活躍し、昨シーズンはファイティングイーグルス名古屋で56試合に出場し、平均12分半のプレータイムを得た。

内尾聡理

「シュートを決め切ることは選手寿命を考えると重要」

佐賀に移籍した理由を福岡県出身の内尾はこう明かす。「佐賀には素晴らしいアリーナがあります。高校までずっと九州にいて、再び九州でプレーできる機会をいただけるのはうれしかったです。そして佐賀の走るバスケットは、僕のスタイルにも生かせると思いました。FE名古屋さんは来シーズンから始まるBプレミアに入っていないので、そういう将来性も含めて佐賀バルーナーズを選ばせていただきました」

すでにディフェンスに関してはBリーグでも実績を残している内尾にとって、さらなる成長のカギはオフェンスにある。この試合でも積極的なドライブを見せていた。「アタックすることで、ディフェンスが収縮して味方のシュートチャンスを作れる。狙っていきたいです」

内尾はノーマークでしっかりとシュートを決め切ることを大切にしている。「自分が1試合で何十点も取るということはないですが、それでもコンスタントに点を取らないとこのリーグでは生き残っていけません。ノーマークになった時、シュートを打ち切れた部分は評価していいと思いますが、決め切れないと意味がないと思います。与えられたチャンスの中で、シュートを決め切ることは選手寿命を考えると重要です」

もちろん、守備に対する強いこだわりは不変だ。「ディフェンスはプライドを持ってやらないといけないです。これからは外国籍など自分より大きい選手も守れるようにならないといけない。それができないのであればプレータイムは減っていくと思います」

ちなみに富樫とのマッチアップについては「1つ目のファウルはもったいなかったです。最初の守備でフリースローを与えてしまうのは一番やってはいけないことでした」と反省。5ファウルを宣告された後に富樫と何を話していたかと問われると、「『5分しか出ていないじゃん』と言われたので『勘弁してください…』と言いました」と苦笑いで明かした。

実際、内尾のプレータイムはわずか10分だったが、会見に登壇した富樫は「イメージ的には5分でした。『まだまだ』と彼に伝えておいてください」とジョークを飛ばした後に、次のようなエールを送っている。

「しっかりと実力を買われて、この試合にスタートで出ていると思います。一瞬でファウルアウトした印象でしたけど、チームが必要な時、しっかりと体を張ってファウルをした場面もあったはずなのでこれからの活躍にすごく期待しています」

佐賀がレギュラーシーズンで千葉Jと対戦するのは131日、2月1日のホームゲームとなる。新天地でしっかりと定位置を確保した内尾が、今後こそ1試合を通して富樫とバチバチとマッチアップする姿を見たいファンは多いはずだ。