2人が役割を入れ替えることでオフェンスが安定
ボスニア・ヘルツェゴビナとポーランドの対戦となった決勝トーナメントのラウンド16は、開始早々に11点をリードしたボスニア・ヘルツェゴビナをポーランドが追いかける展開となりました。ボスニア・ヘルツェゴビナのジョン・ロバーソンが次々に3ポイントシュートを決めていくと、ポーランドはジョーダン・ロイドが多彩なオフェンスパターンで決め返す。お互いの帰化選手のハイレベルな点の取り合いから試合は動いていきました。
ロバーソンは1on1シチュエーションからのプルアップ3ポイントを連発し、前半に打った5本すべてを決めました。ユスフ・ヌルキッチがインサイドでポストムーブを決める中で、外からはロバーソンが高確率のシュートで引っ張ることで、ボスニアは中外のバランスが良いオフェンスになります。
当然、後半になるとロバーソンには徹底マークが付けられ、ボスニア・ヘルツェゴビナのオフェンスは苦しくなっていきます。スペースはあるため得点が止まることはないものの、ロバーソンがボールを長く持つこともあり、ここを止められると展開力を欠いてターンオーバーも増えてしまいました。
ロイドは自らクリエイトしてのプルアップに、オフボールムーブからの3ポイントシュートと高いシュート力を発揮するだけでなく、巧みな駆け引きからのドライブに、ポストアップからの押し込みもあり、多彩さが光る得点の取り方をすると同時に、自分へ引き付けると巧みなアシストでチームメートの得点も生み出しました。
これが後半のロイド以外の得点に繋がっていきます。オフェンスの中心はマテウス・ポニツカへと移り、ロイドはオフボールでディフェンスを引き付けるスペーサー役になることでオフェンスのバランスが崩れなかったポーランドが第3クォーター終了間際に同点に追いつきます。
第4クォーターが始まるとロバーソンに限界が訪れてしまいます。ロイド相手の1on1を仕掛けるもドリブルの途中で足を痛めて倒れこみ、そのまま試合には戻れませんでした。一方でロイドが残り4分に久しぶりの1on1を仕掛けると、打たせたくないボスニア・ヘルツェゴビナのディフェンスが3ポイントシュートに飛び込んでしまいます。このフリースローを確実に決めるとポーランドが8点をリードします。
あきらめないボスニア・ヘルツェゴビナはヌルキッチ中心に反撃しますが、ポーランドはスローダウンして時間を使いつつ、そのヌルキッチ相手のアイソレーションで攻めていきます。ただ、ここでミスを連発して試合をクローズできません。それでも残り1分半、ポニツカがスティールに成功すると、ロイドが時間を存分に使ってからのフェイダウェイを決めて勝利を決定づけました。
最終スコアは80-72の8点差。ポーランドはロイドは28得点、ポニツカが19得点。ボスニア・ヘルツェゴビナはヌルキッチが20得点、ロバーソンが19得点。エース2人の合計得点差も最終スコアと同じ8点でした。健闘したボスニア・ヘルツェゴビナでしたが、ロバーソンの途中離脱が響いての敗退となってしまいました。