セルジョ・スカリオーロ

「今後はスペイン代表の一番のファンになるつもりだ」

スペインは2勝3敗でグループCの5位となり、決勝トーナメントに進むことなくユーロバスケットから去ることになった。グループ最終戦、ヤニス・アデトクンボを擁するギリシャに決死の抵抗を試み、最大16点のビハインドから第4クォーターに逆転するも、勝つことはできなかった。

スペインは全大会の優勝チームであり、1997年を最後に11大会連続でベスト8以上の成績を残していた『浮沈艦隊』だったが、今回は世代交代の過程で力を発揮できなかった。そして、今大会を最後にセルジョ・スカリオーロがヘッドコーチを退任する。

それでも、最後の会見に応じたスカリオーロの表情には、やりきった充実感があった。「最後の試合に負けることを望む者はいない。勝ちたかったよ。だが、選手たちは文句の言いようのない戦いぶりを見せてくれた。窮地に追い込まれたが、そこからすさまじいエネルギーで追い上げた。若いチームがここまで戦ったことを誇りに思う」

終盤にリードを奪った時点でも、スカリオーロは若い選手たちを起用した。エースとしてチームを引っ張るべきファンチョ・エルナンゴメスは5得点と奮わなかったが、17分しかプレーしなかったところを見るとコンディションに問題を抱えていた。その代わりにスカリオーロが試合を託したのは、19歳のマリオ・サン・スペリとセルヒオ・デラレーア、24歳のサンティ・アルダマとハイメ・プラディジャ、25歳のホエル・パラという若いラインナップだった。

クラッチタイムに19歳コンビを起用したことを、スカリオーロは「ラスト4分を任され、試合を締めくくるに値したからだ」と説明する。

スカリオーロはスペイン代表コーチとして、4度のユーロバスケット優勝を果たしている。ワールドカップでは2019年に優勝し、オリンピックではロンドンで銀メダル、リオで銅メダルを獲得した。

イタリアのブレッシャ出身のスカリオーロは「私が初めてスペインに来たのは1997年のことだ」と過去を振り返る。「美しいバスケをやっていたが、強くはなかった。その後、1980年代生まれの選手たちの台頭とともに変化が起きた。美しいだけではなく、そのバスケで勝つようになった。その変化にコーチとして関わる、その仕事を私は愛してきた。でも、もうこの場所を譲るべき時だ」

「私の後任となるコーチは多くの批判を浴びる。私も就任当初は『スペイン代表を強くするのは無理だ』と言われた。その言葉を投げ掛けた人たちが、また同じことを言うだろう。でも、チームに何が起きたか思い出してほしい。そして、楽観的に未来を見てほしい。このチームは数年のうちに勝てるようになると確信している。今後はコーチではなくなるが、スペイン代表の一番のファンになるつもりだ」