シモーネ・フォンテッキオ

ダンカン・ロビンソンとのトレードでヒートへ移籍

シモーネ・フォンテッキオはNBAキャリア3年目を終えた今オフ、ダンカン・ロビンソンをピストンズに送るトレードでヒートに送られた。

2022年にイタリア代表のエースとしてユーロバスケット8強進出に貢献し、その1カ月後にジャズでNBAデビュー。ルーキーとはいえイタリア、ドイツ、スペインでのプロ経験がある26歳で即戦力と期待されたが、NBAのバスケに順応するには時間を要した。「NBAはどこか遠い別の場所だった。それが突如として現実となり、飢えた若者たちと競争するのは簡単じゃない」と1年目を終えた彼はコメントしている

そこで彼は、ヨーロッパでエースとして得点を稼ぎ出していたスタイルを捨て、バランスの良い体格とフットワークの良さを生かしたディフェンスに注力する道を選んだ。ジャズでの2年目は先発フォワードの座をつかむも、再建中のジャズはシーズン途中で意外な好成績を生み出す主力を次々とトレード。こうしてフォンテッキオもピストンズへと移籍することになった。

ピストンズでは控えに逆戻りとなったが、ジャズ以上にフィジカルなディフェンスを重視するピストンズでフォンテッキオの評価は高まった。ただし、その立場はあくまでロールプレーヤーで、昨シーズンは開幕前に左足を手術した影響もあって出遅れ、75試合に出場するも出場時間は減り、前年に10.5だった得点は5.9まで落ち込んだ。

そのフォンテッキオはヒートへの移籍を「大きなチャンスだと思う。エージェントからは移籍があるかもしれないと聞かされていて、トレードは何度経験しても慣れないけど、行き先がヒートで良かった」と語る。

「若い選手を育成して、特にドラフト外の選手を大きく成長させるヒートの手腕をリスペクトしてきた。僕もドラフトで指名されたわけじゃないし、NBAに来るのも遅かった。ヒートはそういう選手の力を引き出すのが上手いよね。ヒートのカルチャー、勤勉さが僕は好きだし、自分に合っていると思う」

「ディフェンスでベストを尽くすことに誇りを持つ」

NBAで3シーズンを過ごしただけだが、彼はもう29歳になった。ヨーロッパでの経験にNBAでの経験を積み重ねる過程で苦労はあったが、それが花開く時期が間もなくやって来ると彼は考えている。

「ヨーロッパでの僕はリーグで最高の運動能力を持つ部類の選手だった。でもNBAは運動能力のレベルが桁違いで、まずは自分がせいぜい平均だと受け入れる必要があった。そこから数年がかりで適応して、ようやく準備ができたと感じる。もう若手とは言えないけど、まだ30歳にはなっていない」

「ジャズでの2年目はどの試合でも相手のエースをマークするのが僕の役割だった。その役割に挑み、ディフェンスでベストを尽くすことに誇りを持てるようになった。それはヒートのバスケにもきっとフィットすると思っている。シューターと見られているのは分かっているし、ダンカン・ロビンソンの代役を求められるならそれに応えたいけど、ディフェンスで相手のエースをマークし、複数のポジションを守る、リバウンドを取る、そこからのボールプッシュと、自分のプレーすべてでチームに貢献したいと思っている」

そのフォンテッキオは、今夏のユーロバスケットにイタリア代表の一員として参加することを明言。2022年にそうだったように、代表で良いリズムに乗り、そのままNBAの新シーズンに勢いを持ち込んでもらいたい。